日本の中心地である「東京」で保健師として働きたいと考える人は多いでしょう。東京都は人口が多い分、保健師が関わらなければいけない領域も多岐に渡ります。それは、大変な一面もある一方で、他にはない「やりがい」も感じることもできるはずです。
ここでは、そんな「東京都保健師」に焦点を当て、その役割や特徴をご紹介させていただきます。これから、東京都保健師への転職を検討されている方はぜひご参照ください。
また、東京都保健師と言っても、なるための方法は他の道府県保健師と変わりません。実際に東京都保健師になれるまでの流れについて知りたい方は「保健師公務員試験の流れと試験対策方法について」の記事をご参照ください。
1.東京都保健師の組織体制と役割
2.東京都保健師の特徴(1):勤務場所が多岐に渡る
3.東京都保健師の特徴(2):チューター保健師制度を取り入れている
まとめ:東京都保健師は保健師未経験者にオススメ!
1.東京都保健師の組織体制と役割
東京都保健師は、住民に対する直接的なサービスを提供すること以外にも、精神・難病・感染症・医療安全などの専門性の高い業務や健康施策に携わっていくことになります。また、扱う規模(集団)が大きいため、それら全てを1人で担うことはなく、それぞれの組織に配属され役割分担をしながら進めていきます。
東京都保健師の組織体制について
東京都保健師は以下の4つのうち、いずれかの組織に配置され業務を行うことになります。
- 企画調整係
- 保健医療係
- 感染対策係
- 地域保健係
それでは、それぞれの組織における保健師の役割について見ていきましょう。
企画調整係は健康課題に対するシステム作りを行う
企画調整係に配置された保健師は、疫学調査などによって地域住民の健康課題を明らかにし、その課題に対する解決策を企画・調整・実施・評価するためのシステム作りを行っていきます。また、それらのシステムを支えるための、地域関係者の育成も行っていきます。
保健医療係は地域住民の健康相談窓口
保健医療係に配置された保健師は、地域住民や地域の診療所・クリニックなどからの医療に関する相談窓口業務を担います。地域住民に対しては、その人が抱える健康不安に耳を傾け解決策を提示し、また診療所などの医療施設に対しては、最新の医療情報を提供するなどして、誰もが適切な医療を受けられる地域づくりを目指していきます。
感染症対策係は医療機関との連携して感染症の予防対策
感染症対策係に配置された保健師は、新型インフルエンザやノロウイルスなどの流行を防ぐために、普段から医療施設と連携し、予防対策に取り組んでいきます。また、実際に感染症が発生してしまった際は、すぐに施設の方へ出向き、更なる感染拡大の予防にあたります。
地域保健係は在宅療養が必要な地域住民のサポートを行う
地域保健係に配置された保健師は、地域の訪問看護ステーションや医療福祉施設などと連携し、難病患者や重症心身障害児など在宅療養が必要な地域住民やその家族のサポートを行います。
2.東京都保健師の特徴(1):勤務場所が多岐に渡る
保健師と言えば、保健所や保健センターで働くというイメージが強いでしょう。しかし、東京都保健師は、それらの施設の他にも多岐に渡り勤務場所が用意されています。また、どの勤務場所に配置されるかは、公務員試験に受かってからではないと分かりません。なお、実際に働き始めてからは「異動希望」を出すことが可能になるようです。
東京都保健所の種類について
まずは、東京都保健師の代表的な勤務場所、保健所の種類について見ていきます。
- 西多摩保健所(青梅市)
- 南多摩保健所(多摩市)
- 多摩立川保健所(立川市)
- 多摩府中保健所(府中市)
- 多摩小平保健所(小平市)
- 島しょ保健所
都内の保健所については、多摩地区に集中しています。また、東京都は伊豆諸島・小笠原諸島に4つの出張所と2つの支所を保有しています。
島しょ保健所の出張所・支所について
島しょ保健所の出張所・支所は以下のようになります。
- 大島出張所(大島)
- 大島出張所新島支所(新島)
- 大島出張所津軽支所(神津市)
- 三宅出張所(三宅島)
- 八丈出張所(八丈島)
- 小笠原出張所(小笠原諸島)
島しょ保健所では保健師2名体制で、島の住民に寄り添いながら保健活動を行ってくことになるため、1人1人の保健師に幅広い知識と対応力が求められます。
保健所以外の勤務場所について
それでは、保健所以外の東京都保健師の勤務場所を見ていきましょう。
- 精神保健福祉センター
- 東京都健康安全研究センター
- 東京都福祉保健局
- 教育庁
- 東京都交通局
- 東京都職員共済組合
このように、保健所・保健センター以外にも沢山の東京都保健師の職場があることに驚かれた方もいるかもしれません。以下に1つ1つの期間について簡潔に紹介していきます。
精神保健福祉センターとは
精神保健福祉センターとは、こころの病を患う方の自立と社会復帰をめざし、社会に適応していけるためのサポートなどを行う機関です。なお、都内には3ヶ所、精神保健福祉センターが設置されています。
東京都健康安全研究センターとは
東京都健康安全研究センターとは、都民の安全を守るために、食品・医薬品・飲料水や生活環境の安全性を試験検査や調査研究、研修指導などを通し監視を行う機関です。
東京都福祉保健局とは
東京都福祉保健局とは都庁に設置してあり、医療・保健・少子化・障害者・健康安全・感染症に対しての対策うを担う機関です。
教育庁とは
教育庁とは、児童・生徒の健康管理を担う機関であり、保健師は学校健康推進課でその役割を果たすことになります。
東京都交通とは
東京都交通局とは、東京都及びその周辺の地域における公営交通事業を行っている東京都の局であり、保健師はは労務課に配置され、職員の健康管理などを行うことになります。
東京都職員共済組合とは
東京都職員・特別区職員によって組織される地方公務員共済組合です。保健師は健康増進課に配置され、職員の健康管理などを行います。
3.東京都保健師の特徴(2):チューター保健師制度を取り入れている
東京都保健師は新任保健師への教育として「チューター保健師制度」を導入しています。各新人保健師ごとに決まった相談相手(チューター保健師)を配置させ、仕事の仕方・学習方法・悩みごとなどを多岐にわたり相談や支援を行います。チューター保健師制度では、中堅保健師がチューターを担当し、保健所の現状や新人保健師の能力に合わせて育成計画所を作成します。
よって、新人保健師は、チューター保健師のサポートによって、慣れない環境の中でも安心して仕事に取り組むことができるのです。
チューター保健師制度の実際
決められた相談相手がいることは、新人保健師にとって心強いという評価が挙がっており、新人保健師研修期間を通じてチューターを配置すことが望ましいとされています。
また、チューター保健師が新人保健師に対し、日々の実践的業務を指導できるために、新人保健師とチューター保健師がペアで、住民や地域・職場・企画を受け持つケースが多いようです。
職場全体で新人保健師を育てようという意識
基本的には、担当チューターが中心となって新人保健師の教育にあたりますが、最近では2~3年目の保健師もチューターと協力しながら新人保健師のサポートを行うようにしているようです。
年間を通した新人保健師の研修の流れについて
東京都保健師は、チューター保健師らのサポートを受けながら、以下の研修制度を通して一人前になっていきます。
4月:新任研修前期・福祉保健局新任研修前期
6月:新任保健師研修
10月~11月:新任研修中期・福祉保健局新任研修後期
2月:新任研修後期・新任保健師フォロー研修
他にも、所属している職場での実務研修や、OJT(職場内教育)、自己啓発等で東京都保健師に必要な能力を確実に身につけていきます。
まとめ:東京都保健師は保健師未経験者にオススメ!
以上、東京都保健師について紹介させていただきました。東京都保健師の場合は、扱う規模が大きいため、それぞれに役割分担がなされているところや、勤務場所が幅広くあることをまずは念頭に置いておきましょう。また、チューター制度を導入していることからも分かるように、教育にも力を入れていますので、保健師経験がない方にとっては、東京都保健師への転職は非常にオススメできるとも言えます。
なお、東京都福祉保健局では、東京都保健師の活動内容について、保健師を目指している方々に向けて「東京都保健師業務説明会」を毎年夏に行っていますので、東京都保健師に興味のある方は参加してみてください。
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