特別支援学校とは「障害を持った児童・生徒が通う学校」です。養護学校・盲学校・聾学校の3つを合わせて特別支援学校と呼びます。特別支援学校で働く養護教諭の役割は、一般の学校と同じように、「保健室の先生」として生徒らの健康管理がメインになり、加えて特別支援学校ならではの役割も担います。保健師・看護師が特別支援学校の養護教諭になるためには、「養護教諭免許」を取得し「教員採用試験」に受かることが条件です。
このページでは、特別支援学校における養護教諭の役割と、そこで働く条件・方法について詳しくご紹介していきます。
1.特別支援学校の養護教諭に求められる役割
特別支援学校で働く養護教諭の特徴としては「児童の慢性疾患の管理」「性教育」「担任との情報共有」に注力を注がなければならない点です。もちろん、一般の学校の養護教諭においても、これらの業務を行っていくことにはなりますが、特別支援学校においては一層の事のようです。
学校の中において、唯一の医療従事者としての役割を果たすと共に、「教職員」としての立場も担う、特別支援学校の養護教諭の仕事内容や役割について詳しく見ていきましょう。
保健室に訪れる生徒への対応
特別支援学校の生徒が保健室へ訪れる理由をまとめると以下のようになります。
- けが
- 体調不良
- 慢性疾患の管理
また、特に明確な理由はなく、保健室へ訪れるケースも少なくありません。その場合は、「いつでも自分を受け止めてくれる養護教諭」の存在を求めているようです。
けがの場合は、職員や家族など誰も見ていないところで発生していることも多く、家庭でのケガを保健室で手当てすることもあります。体調不良に関しては、熱発時の対応をすることがほとんどです。
急な「てんかん発作」への対応
特別支援学校に通う生徒の特徴として、持病に「てんかん発作」を抱えている場合が多いことが挙げられます。てんかん発作を発生される要因はいくつか考えられますが、基本的にはいつ起こるか予想することができません。
そのため、養護教諭は、今まで発作が起きた状況を分析すると共に、全職員が「てんかん発作」の発生時に、いつでも冷静に対処できるよう働きかけていかなければならないのです。
特別支援学校の養護教諭には「きめ細やかな観察力」が必須
特別支援学校に通う生徒達は、自分の症状を言葉で表すのが上手ではありません。そのため、養護教諭は、「きめ細やかな観察力」によって生徒の微妙な変化を察知していかなければならないのです。
保護者・担任と連携して性教育を行う
特別支援学校の生徒の保護者らは、性教育に関する学習の場を求めています。そのため、養護教諭らは、専門機関や保護者らとの連携を視野に入れながら、一貫した性教育を行い、そうした保護者のニーズに応える必要があります。養護教諭は、学級担任へ性教育に関する教材や資料などを渡したり、実際に担任と授業を行うこともあります。
生徒の発達段階に応じた性教育が必要
生徒に発達障害があった場合、彼等の心身の発育・発達だけではなく、男女の対人コミュニケーションに関する理解などの発達に応じた性教育を行っていく必要があります。そのため、養護教諭らは1人1人の発達段階を適切にアセスメントしていかなければなりません。
担任教諭と細かな情報共有を行う
特別支援学校の養護教諭は、担任教諭と密に情報共有を行っていかなければなりません。例えば、生徒が教室内で心身の不調を訴えた時、担任は生徒と共に保健室に訪れ、養護教諭に子供の様子を詳しく話します。また、生徒が1人で保健室に訪れた際には、養護教諭はすぐさま担任へ情報を共有します。きめ細やかな健康観察や担任との細めな情報共有は、養護教諭が子供達を支援する上で重要だと言えます。
忙しい合間の情報共有が大事
養護教諭は担任とは異なり、生徒達の普段の様子を把握することはできません。だからこそ、1人1人の成長に合った対応を行っていくためには、担任との情報共有が必須なのです。また、教室運営を任されている担任は、非常に忙しく空き時間があまりないため、養護教諭はその忙しい合間を塗って、自ら積極的に情報共有を行っていかなければなりません。
2.特別支援学校の養護教諭になる条件と方法
看護師・保健師が特別支援学校の養護教諭として働くためには、養護教諭第1種もしくは2種の資格を取得し、更に、各都道府県や政令指定都市の教員採用試験に合格しないといけません。
人によっては、学生時代に養護教諭の資格を取得している人もいますが、そうでない場合は通信制の大学などに通って、上記の資格を取得しなければなりません。なお、看護師の資格のみでも学校保健師として働けるケースもありますが、特別支援学校の養護教諭は「看護師採用」という枠ではない限り、養護教諭資格が必須です。
養護教諭資格は1種でも2種でも大丈夫!
先にも述べ通り、養護教諭の資格は1種と2種がありますが、どちらの方が特別支援学校の就職に「有利」ということは、ありません。ちなみに、1種と2種の違いは教育過程にあります。1種の場合は、実習も含みますが、2種は実習がありません。既に、保健師や看護師としての臨床経験がある人であれば、なおさら、どちらの資格を取得しても待遇は変わらないようです。
教育採用試験の難易度は自治体による
難しいイメージのある教員採用試験ですが、その難易度は自治体によって異なります。そのため、どうしても、すぐに特別支援学校の養護教諭として働きたいという場合は、比較的、倍率の低い自治体を探すことをオススメします。
特別支援学校の養護教諭求人の探し方は?
特別支援学校の養護教諭求人を見つけるには、各自治体のホームページを確認する、もしくは自治体の方へ直接問い合わせるようにしましょう。特別支援学校は、基本的に行政の管轄となっていますので、民間の転職サイトなどには、求人情報は掲載されていないので、注意しましょう。
まとめ
子供の身体の健康を守り、心のケアを行うのが養護教諭の仕事です。その中でも、特別支援学校の養護教諭は、更に「医療的」な観点からも子供の成長をサポートすることが求められているのかもしれません。
特別支援学校における養護教諭の専門的な役割については、まだまだ研究がされている最中であり、発展途上だとも言えます。そのため、一般の学校の養護教諭とはまた違った大変さもありはずですが、一方でやりがいも十分にあることが考えられます。
障害児教育に携わってみたいと考える看護師・保健師の方は、ぜひ目指してみる価値のある職種だと言えます。
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