保健師が中小企業に転職すると一体どのようなメリットやデメリットが起こるのでしょうか?
このページでは、保健師が中小企業に転職する際に気を付けるべき5つの注意点を紹介していきます。
1. 保健師の中小企業での仕事内容
保健師の中小企業での主な仕事の内容は下記の通りとなります。
一般健康診断を行う
中小企業で働く保健師の仕事内容は、まず社員の健康状態を普段からモニターし、病気の早期発見を行うために一般健康診断を行います。仕事の流れとしては、まず健康診断の企画をし、実施計画を立て、準備を行い、実際に健康診断を行い、結果を管理し、その結果の判定と事後処置を行います。
その後の状態についてもフォローやフィードバックを行います。社長や従業員と相談して日程や場所を決め、注意事項をまとめたり、予算の決定など細かい点についても調整をしながら行います。
健康診断の結果をもとに健康指導を行う
健康診断の結果によって、今後の保健指導も行っていきます。従業員とコミュニケーションを取りながら、過去のデータがある場合には前年度のデータなどと照らし合わせながら適切な保健指導を行います。集団で指導する場合もありますし、個人的に健康指導を行う場合もあります。
従業員の精神障害の発症防止
保健師は、従業員からの日々の健康相談にも乗り、ストレスによるうつ病や自殺防止などの精神障害の発症予防のためにも尽力します。過度のストレスがあっても気付かない従業員もいるので、よく観察して臨場経験豊かな知識を生かすことが求められます。長時間労働や過重労働への対策を講じる必要もあり、過重労働に当てはまる従業員がいる場合は、産業医による面接を受けるよう計画して行きます。
緊急時の応急処置
化学物質を扱う危険な業務を行う職場や熱中症の発生などがある会社では、緊急事態が起こった際に応急処置を行う必要もあります。普段から緊急の事態に備えてマニュアルを作成し、よく把握しておくことも保健師に求められる仕事です。
2. 保健師が中小企業に転職する注意点
保健師が中小企業に転職する際には、まず、会社の経営状態をよく調べておくことが大切です。
転職先となる企業の経営状態を調べておこう
保健師の給料は会社の経営状態によって大きく左右されますから、最初の募集内容での給料は良くとも、経営状態が悪くなれば減給やボーナスカットという状態も出てきます。転職先となる中小企業の将来性や現在の経営状態、そして過去の経営状況や社会的な評判などまでしっかりと調べる必要があります。
仕事内容について事前に確認しておこう
中小企業の採用者の中には保健師の仕事内容をよく理解していない人もいますので、相手の会社がどのような仕事内容を望んでいるのかということを事前によく話し合い、誤解のないようにしておかなければなりません。
保健師の中には今までの臨場経験や知識を生かし、社員の健康指導を行ったり、社員一人一人との濃いコミュニケーションをを望んでいる人も多いですが、中小企業では単純に健康診断書類などのデスクワークをこなしてほしいという場合もありますので、お互いの認識にズレがないかしっかりと事前に確かめておく必要があります。
福利厚生が企業によって大きく違う
福利厚生の内容を詳しくチェックしておく必要もあります。大手企業では福利厚生が充実している場合が多いですが、中小企業はその企業によって福利厚生の内容も大きく違ってきますので、自分の納得が行く内容であるかどうかを事前によく調べることが大切です。
ポイント!
入社してから話が違うということになっても、保健師の募集は大変稀で簡単に新しい転職先を探すのが難しい業界ですから、転職の際は十分過ぎるほどの下調べを行ってから慎重に行いましょう。
3. 保健師が中小企業で働くメリット
産業保健師の求人は大手企業からというものが多いですが、中には中小企業からの募集もあります。
しかし、中小企業と言ってもあまりにも人数が少ない企業は保健師を募集しないことが多いので、社員が最低でも100人はいると考えた方がいいでしょう。
大手に比べて仕事量が少なく負担が小さい
中小企業に転職するメリットは、大手企業よりも人数が少ないので、仕事の対象となる社員数が少ないということが言えます。人数が多いほど社員の健康相談やメンタルケアに費やす時間も多くなりますし、健康管理や保健指導を行うことにももっと時間と労力がかかります。
よって、中小企業の方が大手企業で働くよりも保健師の仕事量が少なくなると言えます。
派閥が出来にくく、風通しが良い
また、大手企業では社長や上司が現場で仕事をしないことが多いので、保健師の仕事に口を挟んで来ることもありますが、中小企業の場合は社長や上司が現場でいっしょに仕事をすることが多いので、保健師の仕事にまで口を挟むことはほとんどありません。
部署も少人数ということが多いので、派閥が出来にくく、風通しが良い職場となっていることが多いです。
自分のペースで仕事が出来る
大手企業では、企業内診療所がある所も多く、その場合は医師や看護師といっしょに勤務することになります。しかし、中小企業の場合は医務室に1人か2人しかいないという状態での勤務になるので、自分のペースで仕事が出来ます。
自分の経験に自身がある人には特に適した職場であると言えます。
4. 保健師が中小企業で働くデメリット
保健師が中小企業で働くメリットは多いですが、デメリットもあることは事実です。
責任が重い
例えば中小企業の場合は、大手企業のように企業内診療所があり、医師や看護師がいっしょに勤務しているということはなく、医務室で1人で勤務するということが多いです。
それを好む人には良いですが、全ての決定を自分一人で行うという責任を重過ぎると感じる人には向いていません。
経験が少ない人にとっては厳しい職場
中小企業の保健師は1人で何事にも対応して行かなければならず、緊急時の応急処置も自らの判断で行わなければなりません。よって、広範囲の知識や臨場経験や実践経験を求められるので、経験が少ない人にとっては厳しい職場となってしまいます。
保健師が自分一人しか居ないことも
また、中小企業には保健師の常駐が義務付けられていないので、採用があってもせいぜい1人ということが多く、他の保健師といっしょに働きたいという人には寂しく感じる職場になってしまいます。
経営状況によって給料が大きく左右される
大手企業に勤める保健師は、給与の変動をそれほど気にする必要はありませんが、中小企業は経営状況によって給料が大きく左右される恐れがあります。経営がうまく行っている時は良いのですが、経営が厳しくなると昇給どころか減給ということもあったり、ボーナスがカットされるということもあります。
中小企業によって、給料も大きく違いますので、経営状態の良い中小企業を選ぶ必要があります。
看護師から保健師に転職する場合は、今までは安定した収入が見込めた病院を辞めてまで転職する価値があるのかを見極めることが大切です。
5. 保健師が中小企業での募集求人を探す方法
保健師が中小企業での募集求人を探すことは大変難しいのが現状です。産業保健師の採用については、非常に倍率が高いということはよく知られています。募集自体が少ないのに企業で保健師として働きたいという人は非常に多いので、常に狭き門となっています。
しかし、そのような稀な中小企業での保健師募集求人を探す方法はあります。
看護師転職求人サイト
まず、看護師転職求人サイトを少なくとも月に2~3回はチェックしておくことが大切です。中小企業の保健師の募集は、欠員補充や事業拡大に伴う増員という場合に行われることが多いので、転職者はおろか、その企業で働いている人でも予測が難しいというのが実情です。ですからコンスタントにサイトをチェックすることは重要です。そのサイトも1つというのではなくて、3~4サイトをチェックすることが大切です。
ハローワーク
近所にハローワークがある人は、ハローワークに通うのも良い方法です。ハローワークでは、行政保健師以外の保健師である産業保健師や学校保健師の求人情報はあまりないですが、それでも中小企業が募集を出すことがありますのでチェックしておきましょう。ただ、ハローワークの職員には保健師の仕事内容をあまり理解していない人が多いので、募集があってもその求人先がどんな会社かということや働きやすい職場であるかというような情報はほとんど教えてもらえません。
転職会社の求人
転職会社の求人もチェックしておく必要があります。サイトには掲載されることなく、そのまま転職会社の担当者から転職希望者に情報を持って行かれるケースもあるので、転職会社の担当者と連絡を取って、求人があった際にはすぐに連絡をもらえるように頼んでおくことも大切です。
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