保健師が小学校・中学校・高校の養護教諭になろうと考えたら、養護教諭二種の免許状を取得し教員採用試験を受けるのが最短のルートです。しかし、ここで多くの保健師は「養護教諭免許の一種と二種の違いは?一種の方が就職に有利なの?」という疑問に当たるはずです。結論から言ってしまえば、保健師が養護教諭になる場合は「二種」の免許があれば十分です。そのため、養護教諭への転職を考えたら、まずは二種の免許を取得するようにしましょう。
そこで、このページでは、保健師が養護教諭二種免許状を取得するまでの道のりや一種との違いについて具体的に解説していきますので、ぜひご参照ください。
1.保健師が養護教諭二種免許状を取得する方法とは?
保健師が養護教諭二種免許状を取得するには、大学等で免許状の取得に必要な単位を修得した方であれば、各自治体の教育委員会に必要書類を提出するだけで申請することができます。もし、大学等での必要単位が足りてない場合には、教員養成課程のある大学やで科目など履修性になって単位を取得するか、放送大学や通信教育学部で不足分の単位を習得すれば申請できます。
ステップ1:養護教諭二種免許状の申請に必要な単位を取得する
養護教諭二種免許状の取得必要な単位は、以下の各2単位となります。これらの単位が習得できていれば、あとは必要書類を揃えるだけで、免許を申請することができます。
- 日本国憲法
- 体育
- 外国語コミュニケーション
- 情報機器の操作
なお、平成24年度までは、上記の4科目各2単位を習得しなくても、保健師免許さえあれば養護教諭2種の免許状を申請することが出来ましたが、以降はこのように規則が変更となったため、注意してください。
大学等で必要単位を修得できていない場合は?
大学等での必要単位が足りてない場合には、教員養成課程のある大学や短期大学に科目履修生として編入するか、放送大学や通信教育学部で不足分の単位を習得すれば申請することができます。
ステップ2:申請に必要書類を揃え各自治体の都道府県教育委員会へ提出
上記の必要単位が習得できていれば、あとは各自治体ごとに定められた必要書類を揃え、都道府県教育委員会に申請すれば、約1ヶ月後には、正式に免許が交付されます。ここでは、例として東京都の教育委員会で定められている申請書類をご紹介致します。都外にお住まいの方や、都外の学校で働かれる方は、それぞれの道府県教育委員会のホームページを確認してください。
養護教諭免許申請に必要な書類(東京都の場合)
窓口で申請用紙を記入し、以下の必要書類を添え、申請します。
- 保健師免許証の原本とコピー
- 戸籍の異動状況に応じ、本籍地が記載されている住民票or戸籍抄本又は戸籍謄本(いずれも発行から3ヶ月以内のもの)
- 在籍していた保健師養成機関の在学証明書又は成績証明書等(入学年月日・卒業年月日が明記されているもの)
- 在学していた保健師養成機関が専門学校の場合、高等学校の卒業証明書
- 教育職員免許法施行規則第66条の6に定める科目を修得した大学における学力に関する証明書
- 印鑑(スタンプ式は不可)
- 手数料(1免許状につき3,300円)
- 既に教育職員免許状を取得している場合、その免許状の原本とコピー
- 免許状郵送用封筒(免許状の郵送を希望する場合のみ。直接受け取りの場合は不要)
なお、東京都の場合、申請場所は、東京都庁第一本庁舎北側36階にあります。
保健師免許状の取得から10年以上経っている場合は更新が必要!
保健師の免許を受け10年以上経過している場合は、養護教諭免許状申請時点から遡り、2年2ヶ月以内に免許状更新講習の過程を修了し、更新講習履修証明書を添付しなければ申請ができないため注意しましょう(全国共通)。
2.養護教諭免許一種と二種の違いとは?
養護教諭免許一種と二種の最大の違いは、免許の取得方法にあります。一種の場合は、「養護教諭養成課程」を有する4年制大学に入学し、必要な単位を習得する必要があります。一方、二種の場合は短期大学や養護教員養成課程のある看護大学で2年間学び、必要な単位を習得します。よって、一種と二種では学ぶ期間が2年違うことになるため、学習内容の深さや広さが異なります。
養護教諭について深く学ぶことができるのは「一種」
一種と二種の教育課程の違いについては、看護系大学で二種を取得するケースと教育系の大学で一種を取得するケースを比較すると、とても分かりやすいです。看護系大学の場合は、「看護学」について学ぶことがメインとなるのですが、教育系の場合は「教育論」を学ぶことがメインとなり、その結果、必然的に一種の方が養護教諭に対する学びを深めることになるのです。
カリキュラムの最大の違いは「養護実習」の有無
養護教諭一種と二種のカリキュラムの最大の違いは「養護実習」の有無です。一種の場合は、必ず母校などで養護実習を行うことになりますが、二種は養護実習がないことが多いです。特に看護系の大学で二種を取得する場合は「看護実習」や「保健師実習」を行うことになり、養護実習はありません。
就職には「一種」も「二種」も関係ない!
上記のように、一種と二種ではカリキュラムが異なるため、つい一種の方が就職に有利だと思われがちです。しかし、実際のところは一種であっても二種であっても就職にはほとんど関係ないのが現状です。また、四大卒であれば、就職後の給与も変わりません。もちろん、任せられる仕事内容も一緒です。そのため、保健師の方が養護教諭になる際には、まず二種の免許を取得するようにしましょう。
必要があれば就職してから一種を取得すればいい
学校によっては、二種の免許しか持っていないと、今後働きながら一種の免許を取得するよう指示されることがあります。その場合は、一種の免許を取得できる通信大学を利用し、必要単位を科目等履修生として習得することになります。このように、二種の免許しか持っていなかったとしても、必要に応じ、働きながら一種の免許を取得すればいいだけのことなのです。
働く前に養護教諭としての基礎を固めておきたい場合は?
いくら二種の免許だけで養護教諭になれると言っても、看護師や保健師の経験が浅い人は、このままいきなり養護教諭として働きはじめることに不安を覚えるかもしれません。そういった場合は、以下にご紹介する通信大学で、養護教諭としての基礎を固め、一種の免許を取得しておいてもいいかもしれません。また、「どうせ働きながら一種を取得するんだったら時間のあるうちに取得しておきたい」と考え、このような通信大学を利用する人もいるようです。
- 聖徳大学(千葉県)
- 人間総合科学大学(埼玉県)
- 東京福祉大学(東京都)
- 近代姫路大学(兵庫県)
上記に記載した大学では、通信制で養護教諭としての基礎を習得できます。興味のある方は、一度ホームページなどを参考にしてみたください。
まとめ:一種にするか二種にするかは置かれている状況で判断を
保健師の方が、できるだけ早く養護教諭になりたいと考る場合には、まず「養護教諭二種」の免許取得から始めましょう。反対に時間に余裕があり、養護教諭としての基礎を固めてから実践に入りたいと考える方は、通信制大学を利用し一種の免許を取得することをオススメします。
繰り返しになりますが、養護教諭になるためには必ず一種の免許が必要というわけではありません。そのため、一種を取得するか二種を取得するかは、自分が置かれている状況に合った方を選択するようにしましょう。
また、養護教諭への転職や仕事内容について詳しく知りたい方は「養護教諭の保健師は楽じゃない!「保健の先生」が抱えるリアルな悩み5つ」・「保健師が養護教諭求人に転職する5つの注意点」をご参照ください。
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