「産業保健師が気になるけど、実際のところってどうなの?」という看護師の方は多いことでしょう。
産業保健師は求人が看護師よりも少ない分、情報も少ないため、「実際のところ」を知ることは比較的難しいと言えます。
ここでは、産業保健師歴3年の私が、産業保健師に関するよくある疑問をQ&A方式でご紹介いたします。
1.産業保健師の仕事は楽しい?
2.産業保健師の仕事は看護師に比べてラク?
3.産業保健師の職場の「人間関係」は?
4.産業保健師の「お給料」は良い?悪い?
5.産業保健師の経験がなくても、働けるもの?
6.産業保健師になって良かったと思う事は?
7.産業保健師の仕事に対する「不満」は?
8.産業保健師に向いていると思うのはどんな人?
Q1.産業保健師の仕事は楽しい?
産業保健師の仕事には、病院勤務の時にはない楽しみがあります。仕事の特性上、様々な人と話せることが産業保健師の魅力です。
老若男女問わず、様々な職種(事務職や技術職など)の方と話すことで自分の視野が広がります。
また、私の会社は勤務地が多くあるので、職場巡視や面談、研修として様々な場所へ出向くことが出来、出張時には温泉に宿泊したこともあります。
このように、様々な人と一緒に仕事をすることや、職場がひとつに限らないことは、病院勤務では体験することのできない産業保健師ならではの「楽しみ」であると言えます。
「お昼は安くて美味しいランチを食べにいきます。」
勤務場所はオフィス街なのでレストランがたくさんあり、お昼は安くて美味しいランチを食べにいきます。
たまに産業医の先生や上司がご馳走してくれることもあります。産業保健師として勤めてから、病院勤務の時とは違ってランチも楽しむことが出来ています。
Q2.産業保健師の仕事は看護師に比べてラク?
産業保健師の仕事は基本的に事務作業であり、日勤業務のみなので肉体的にはラクです。夏場は冷房、冬場は暖房が効いた職場で仕事をします。
仕事中、歩き回ることや重労働等がほとんどないため、病院勤務の頃のように腰痛に悩まされることは無くなりました。
「精神的には時折疲弊します。」
産業保健師の仕事はデスクワークですので、肩こりはありますし、精神的には時折疲弊します。
病院勤務の時は基本的にルーチンで行動し、対処に困れば先輩看護師や医師へ相談をしていましたが、産業保健師は職場に1人であり、産業医は週に1度しか来ません。
そのため、何かトラブルがあると医療従事者は私しかいないので、判断を求められることがあります。
時には従業員や上司、総務との間を取り持つ場合もあります。これがなかなか骨の折れる仕事です。
Q3.産業保健師の職場の「人間関係」は?
産業保健師の職場における人間関係は会社によって異なりますが、私の場合、1人きりの職場ということもあり、比較的自由であると感じています。
同じ立場の人間がいないため、仕事は自分の采配で好きなペースで行っています。
そのため、産業保健は病院勤務の看護師とは違って、人間関係に困りにくいのではないかと言えます。
「仲の良い同僚がたくさんできました。」
産業保健師として会社に勤めてから、仲の良い同僚がたくさんできました。
病院勤務の頃は、医療従事者以外の人と仲良くなる機会はあまり有りませんでしたが、多くの職種の従業員と話す機会があり、様々な切り口から親しくなれることが多くありました。
Q4.産業保健師の「お給料」は良い?悪い?
産業保健師になってからは、ボーナスの額は病院勤務の頃より良いです。夜勤もないですし、長く続ける仕事としては、お給料は良いと感じます。
産業保健師を雇用する会社は比較的大きな会社になりますので昇給が見込めます。(それもかなりの額、昇給します。)
ただし、初任給に関しては夜勤手当もありませんので、正直なところお給料は少ないと感じたのも事実です。
Q5.産業保健師の経験がなくても、働けるもの?
「初心者でも可」という求人は多いため、産業保健師の経験が無くても働けるものです。
実際、私も経験なく産業保健師として職場へ飛び込んだので最初は分からないことだらけでしたが、産業医に聞き、様々な研修や本やインターネットで勉強し、少しずつ仕事に慣れてきました。
誰でも最初は経験がないものですから、思い切って飛び込んで、自分から知ろうと行動していけば、道は開けていくのだと実感しています。
ポイント!
産業保健師における新卒看護師の採用は少ない傾向が有るため、最低でも3年間の臨床経験は欲しいところです。
Q6.産業保健師になって良かったと思う事は?
「Q1.」でもお答えしましたが、産業保健師の仕事は、20代から60代、男女問わず様々な従業員と関わることができます。
様々な従業員と関わることで社会を知ることが出来、視野が広がり、医療以外の知識も増えたことこそ、私が「産業保健師になって良かった」と思うことです。
「役に立ったことが実感できて嬉しい。」
また、産業保健師の仕事は、病院勤務では味わえない「良かったと思う事」があります。
例えば、
- 以前保健指導した人の血圧が下がった
- メンタル疾患で休職していた人が復帰して頑張っている
など、小さなことの積み重ねですが、従業員本人や上司からも感謝されますし、何より役に立ったことが実感できて嬉しいです。
Q7.産業保健師の仕事に対する「不満」は?
私が産業保健師の仕事に対する不満は、事務作業が多いことです。
病院勤務を経験してしまうと、身体を動かさずに仕事をしていることに物足りなさを感じてしまうことがあります。
しかし、事務作業のおかげでパソコンスキルは格段に上達したことはメリットであると感じています。
「病気のことならなんでも知っていると思われています。」
産業保健師として勤めて依頼、会社の従業員から、病気のことならなんでも知っていると思われています。
もちろん、分からないことも沢山あるため、回答をすぐに求められる際には「不満」に感じることも少なくありません。
しかし、「わからないことはすぐに調べて回答する」ことを徹底していた結果、様々な知識が身についたことを実感しています。
Q8.産業保健師に向いていると思うのはどんな人?
産業保健師に向いているのは、社交的・積極的な看護師であると思います。
そして、好奇心旺盛で、人のこと、社会のこと、会社のことを知りたいという気持ちを持てるかどうかが大切です。
「産業保健師に興味を持った方は働いてみるべき。」
先ほども述べましたが、産業保健師として働く中で、相談を受けた従業員や会社から感謝される時は嬉しいですし、休職していた従業員が復帰後も元気に働いている様子を見ることは何よりも嬉しいことです。
もちろん何が楽しいか、どのような結果を生み出すかは人それぞれですが、私は、産業保健師に興味を持った方は働いてみるべきであると感じています。
そして、少なくとも2年以上は産業保健師として働き続けて欲しいと思います。
2年以上続けることで、会社の従業員との信頼関係ができますし、より多くの人を助けることで、産業保健師の仕事の魅力を味わえるようになるからです。
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