産業保健師は、病院やクリニックの看護師とは違い病気やケガの患者が対象ではありません。
目に見えて病状やケガが回復していくことや、「ありがとう」と感謝の言葉をもらう機会が少ないでしょう。そのため、一見するとやりがいを感じづらいようにも見えますが、そんなことはありません。
このページでは、現役産業保健師の私が日々の業務の中で実際にやりがいを感じる瞬間についてご紹介していきます。
1.保健指導で対象者に効果があらわれた瞬間
産業保健師のメインの業務は、社員の健康を確認して、疾病予防や健康維持をしていくことにあります。毎年の健康診断を行い、その結果により必要に応じて保健指導していきます。
特に40歳以上を対象としている特定健診と特定保健指導は、企業に義務化されており、生活習慣に大きく関係しています。
検査データの改善や減量の成功を見守る
現在病気を発症していない社員にむけて、病気にならないために、生活習慣を見直すように、体重を減量コントロールできるようにアプローチしていきます。
その中で、実際に検査データが改善された時や、減量に成功された時にやりがいを感じます。もちろん、社員本人からも感謝の気持ちを伝えられるでしょう。
社員が禁煙や減煙に成功できた時は共に喜ぶ
近年では、禁煙指導を社会全体、会社全体で強く取り組む流れになっています。そのため禁煙指導も産業保健師の業務の一つです。
禁煙したいけど、なかなか踏み出せない、方法が分からないと思っている関心度が高い社員も多く、禁煙に成功した時や減煙できた時は、共に喜び、やりがいを感じます。
直接感謝される場面もある
私は、特定保健指導で6ヶ月、ある社員の方の保健指導を担当しました。その方は減量に成功して、とても感謝されました。さらに、その方の奥様も、同じ会社の方でした。奥様が健診に来た時に、そのことを言われて、さらに感謝されて、とても嬉しく思ったのを覚えています。
2.保健だよりやポスターが完成した瞬間
産業保健師は社員の健康に対する意識向上や、流行疾患の注意喚起などを保健だよりやポスターにてよびかけをします。
そういった会社全域に送られるものは、企画書を作成し、上司と話し合い、自分たちで文章やイラストを考えます。計画立案した企画が通った時、それが形になった時は、とてもやりがいを感じます。
看護師時代の経験を活かし受診率上昇に繋げる
私は、女性の子宮がん検診、乳がん検診の呼びかけをしたことがあります。私の会社では、自社では検診を行っておらず、補助金を出して、外部での受診を促していました。
特に子宮がんは、20代の罹患率が高いため、若い社員にむけても声をかけていきました。産婦人科にて働いていた経験も活かせ、受診率上昇に繋がったときは、やりがいを感じました。
3.休職していた社員が復職した瞬間
休職している社員やリハビリ出勤をしている社員は、目にかけて健康状態や出勤状況を見ていきます。近年、人間関係のトラブルや業務内容、家庭やプライベートの問題があり、ストレスを多く抱えている社員が増えてきています。
そして休職を余儀なくされている社員が増えていっています。そういった社員は月に数回、産業医と面談があります。
社員が頑張る姿に自分自身も励まされる
その時に、同席をし、産業保健師からも、どういった状況かを確認していきます。そしてその社員が時間をかけてでも、復職することができた時は、やりがいを感じます。
直接関わることが多い分、産業保健師の言った一言が励みになることがあるでしょう。社内巡視をして、その社員が頑張って仕事をしている姿をみると、さららに、自分も頑張ろうと思ってくると思います。
4.社員から個人名で名前を呼ばれた瞬間
同じ会社の社員ですが、産業保健師の役割や知名度はどこの企業でも低いです。
「保健室にいる人」「健診してくれる人」くらいにしか思われていないかもしれません。
そのため、何かのきっかけで、産業保健師のこと、健康のことに興味を持ってもらえるとやりがいを感じます。
重役社員に名前を覚えられるのはとても嬉しい
上記のように、同じ会社にいて、なかなか産業保健師がどういった業務をしているのか理解していない社員が多い中、特に会長や社長といった重役社員の方々に覚えられると、とても嬉しい気持ちになります。
まとめ
産業保健師が働く現場は1人体制や少ないスタッフで構成されているところも多く、病院やクリニックとは異なり、毎日大きく出来事が変わることは少ないでしょう。
ここで紹介した「やりがい」も、看護師と比較したら大したことないと思われてしまうかもしれませんが、実際に経験してみると、意外とそうでもないことを実感できるはずです。
この記事によって、より産業保健師の仕事に興味を持っていただければ幸いです。
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