養護教諭が離島で働くメリットはたくさんあります。行ける状況の時に思い切って行くと、楽しく仕事ができるでしょう。
ここでは私の経験を踏まえて、離島で働く養護教諭の仕事内容やメリット・デメリットについてご紹介します。
1.離島で働く養護教諭の仕事内容
離島で働く養護教諭の仕事内容は、基本的に離島外と変わりはありません。
離島ならではの養護教諭の仕事の特徴も踏まえて、以下で詳しくご説明します。
(1)けが・病気の応急処置
養護教諭の主な仕事内容のひとつは、児童のけが・病気の応急処置です。
学校現場で多いけがは、主に
- 擦過傷(走っていて転んだ等)
- 切傷(カッターナイフや彫刻刀での負傷等)
- 打撲(人や物にぶつかった等)
以上のものです。年に何回か骨折等の大きなけがもあります。
また、観光客が多い島では、島からインフルエンザ等流行が始まり、県内に広がる場合もあります。
養護教諭が行う基本的な処置
養護教諭が行う基本的な処置は、薬品を使わない以下のことです。
- 水道水で洗浄(擦過傷等)
- 止血(切傷等)
- 氷等を使って冷却(打撲等)
- 病院受診(大きなけがが疑われる場合)
病気に関しては、発熱や嘔吐等がある場合には保護者へ連絡して、迎えに来てもらうことが多いです。
不定愁訴といってなんとなく具合の悪い児童生徒は保健室のベッドで休養させますが、1時間しても回復の見込みがない場合には保護者に連絡して迎えに来てもらいます。
(2)保健室管理(事務処理等)
事務処理等の保健室管理も、養護教諭の仕事内容のひとつです。
養護教諭が行う重要な事務処理として、健康診断関係が挙げられます。健康診断関係では、
- 健康診断終了後の健康診断票(公簿)への記入
- 健康診断事後措置(保護者へのお知らせ、治療勧告書)
などのことを養護教諭が事務処理として行います。
ポイント!
離島によっては、眼科、耳鼻科、歯科の専門的な治療が島内で受けられないことがあるため、事後措置の処理に時間がかかる場合があります。
調査物の処理や係の事務作業も行う
養護教諭経験のない方は意外に思われるかもしれませんが、保健関係の様々な調査物(文部科学省、教育事務所、教育委員会等からのもの)を処理します。
また、学校保健会や養護教諭研修会の係になると、研究発表原稿や会誌作成等の事務作業があります。
離島の場合、学校数が少ないため係が短期間で回ってきます。
(3)掲示物、指導資料の作成
養護教諭の仕事内容のうちに、掲示物や指導資料の作成も含まれます。
季節に応じた掲示物を作成します。例えば虫歯予防週間が近づくと歯磨きに関する掲示物、かぜが流行する時期には風邪予防の掲示物等です。
また、担任が行う保健関係(性に関する指導等)の授業に使う指導案を作成するなどします。
(4)季節に応じた保健指導
教室や全校朝会等の全体の場で保健指導を行うことが、養護教諭の仕事内容に含まれることもあります。離島の極小規模校では、指導の頻度は多いでしょう。
歯磨き指導や性に関する指導、風邪予防など季節に応じた保健指導を行います。
(5)健康相談活動
保健室には心や身体の不調を訴えて様々な児童生徒が来室するため、そのような子どもの話をしっかり聞くことも養護教諭の仕事内容です。
特に、最近はいじめや学校に馴染めない等の心の相談をしに来る子どもが多くなりました。
(6)極小規模校では保健関係以外の仕事もある
離島に多い極小規模校において、学校内の職員数が少ないため、養護教諭が保健関係以外の仕事を持たされる可能性があります。
例えば給食関係・教育相談関係等や、式典でのピアノ演奏を担当している養護教諭もいます。
一方、離島には中規模校や大規模校もあるため、そのようなところは保健関係のみであることが多いです。
2.離島で働く養護教諭の1日のスケジュール
離島で働く養護教諭の1日のスケジュールも、基本的に離島外と変わりはありません。以下の表でご紹介します。
8:00過ぎ | 職員朝会(職員打ち合わせ) |
8:30頃 | 校内巡視 (水質検査、給食室等の消毒、窓の開閉、石けんやトイレットペーパーの補充等) |
9:00頃 | 事務処理や教材作成等をしながら、体調不良・けがをした児童生徒の応急処置 授業の休み時間になると、話を聞いてほしい子どもたちも来室するためしっかり聞く |
12:00頃 | 給食(極小規模校では児童生徒といっしょに給食をとることが多い) |
13:00頃 | 給食の後片付けの状況を確認、必要があれば食器等整理 (基本的には休憩時間が45分間あるが、児童生徒の来室が多いためほとんど休憩できない) |
14:00頃 | 清掃指導(清掃の指導をしつつ、トイレの洗剤等衛生管理に気を配る) |
放課後 | 職員会議等様々な会議 職員会議等では保健関係の行事の提案、職員研修では職員へ保健関係の指導などを行う |
日によっては、研修会等の参加のため出張が入り、半日のものもあれば丸1日のものもあります。
離島外で研修がある場合には、前日から移動しなければならない場合もあります。
3.養護教諭が離島で働くメリット
ここでは、離島で働く養護教諭のメリットについてご紹介します。
(1)素直で純朴な子どもと関わることができる
離島の中でも小さい島の児童は素直で純朴な子どもが多く、関わりを持つことにより養護教諭自身の心も洗われるようであることがメリットとして挙げられます。
また、児童の保護者も親切な方が多く、精神的に充実した日々を送ることができます。
(2)島で採れた魚や野菜など頂ける機会が多い
島の特産物など珍しい野菜や果物、そして採れたばかりの魚などを近隣の方から毎日のように頂けるということも、養護教諭が離島で働く良い点と言えるでしょう。
島の野菜や果物、海鮮は本当においしかったことを思い出します。
(3)大自然の中で生活できる
自然が好きな養護教諭にとって、写真集で見るような自然豊かでとてもきれいな風景を毎日見ることができるのは離島で働く利点でしょう。
遠足も島の美しい海や山が多く、引率もとても楽しいものとなります。
4.養護教諭が離島で働くデメリット
一方、離島で働く養護教諭のデメリットも存在します。以下で詳しくご説明します。
(1)島内の物価が高い
様々なものに輸送費がかかるため、食品、生活雑貨、ガソリンなどが離島外のものに比べて割高になるということがデメリットとして挙げられます。
通販等で買えるものもありますが、生鮮食品やガソリン等は島内で購入するしかありません。
プライベートで不便を感じることが多い
学校内では離島外との違いをあまり感じることは少ないでしょうが、プライベートで不便を感じることが多くあります。
例えば、台風等の時は店のものが不足するため欲しいものが手に入らないなど、生活面の大変さがあります。
(2)家族と別居しなければならない
夫や子どもなど家族がいる養護教諭が離島に住んで働く場合、家族と別居しなければならないことがデメリットとして挙げられます。
夫との別居はもちろん、子どもの進学等の問題がある場合には、子どもとも別居しなければなりません。
子どもに悪影響を及ぼす可能性もある
家族で離島へ住むという場合にも、学童期の子どもがいると転校させなければなりません。
慣れない環境に適応できなかったりいじめられたりして、不登校になる養護教諭の子どもはたくさんいます。
(3)島内の施設が充実していないことがある
島によってはさまざまな施設が充実しておらず、住むうえでデメリットと感じてしまうでしょう。
保育園や幼稚園が充実していない
小さい子どもがいる養護教諭の場合、保育園や幼稚園を利用するうえで不便を感じるかもしれません。
ひどい場合には1時間かけて保育園へ送り、また1時間かけて勤務校へ出勤するというケースもあります。
医療機関が充実していない
医療機関が充実していない島もあり、そういうところではなかなか専門的な治療を受けられません。
緊急を要する場合にはドクターヘリで県の中心地の大きな医療機関に運ばれます。
まとめ
私は独身の時に離島勤務を経験しました。毎日、純朴な子どもたちに囲まれ、楽しく仕事ができました
プライベートでは、近くの独身の先生達と海でバーベキューをしたりドライブをしたり、毎日充実した日々を送っていたことを思い出します。
しかし、行けない状況になってから離島異動対象となってしまうと大変です。どんな理由でも離島異動させられてしまいます。離島勤務を検討している方は、独身か、子どもが小さいうちに行くことをおすすめします。
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