保健師とは、病気である人も病気でない人も全ての人を対象とし、全ての人が今以上に健康になれるように、また病気を事前に防ぐことができるようにサポートする職種です。
ここ最近は看護系大学が増えて保健師資格を持っている看護師も多くなりました。また、今は保健師資格を持っていなくても「予防医学」といった分野も注目されており、保健師を目指してみたいと思っている看護師も増えてきています。
しかし、残念なことに実際の保健師の仕事内容がよくわからない、という声をよく耳にしてしまうことがあります。
今回、実際に看護師から保健師に転職した経験から、保健師の仕事内容や保健師の種類、求人についてご紹介していきます。
1.保健師の種類について
「保健師」は、細かく分けると、以下の4種類に分けられ、実は幅広い分野で活躍しているのです。
- 行政保健師
- 病院保健師
- 産業保健師
- 学校保健師
それぞれ、どのように活躍しているのか、以下でご紹介していきます。
(1)行政保健師
行政保健師が対象とする人は、その地域に住んでいる赤ちゃんから高齢者の人です。赤ちゃんや地域住民のために健診を実施したり、高血圧の患者が多い地域であれば高血圧予防についての知識の普及啓発を行ったりします。
公務員試験に合格しなければならない
行政保健師というのは公務員に値します。ですので行政保健師になるにはその自治体の公務員試験を受けて合格しなければなりません。
詳しくは、「保健師公務員試験の流れと試験対策方法について」の記事を参考にしてみてください。
(2)病院保健師
病院で努める保健師のことです。健診センターが隣接している病院も多く、そういった病院併設の健診センターで働く保健師のことを言います。
産業保健師と仕事内容は同じ場合もあれば、病棟などで看護師業務を兼ねる人もいます。
病院で就職してから初めて病院保健師となれる
健診センターだけでなく地域包括支援センターが併設している病院であればそういった介護分野での仕事をする保健師もいれば、地域連携室といった病院から外部に向けて仕事をする保健師もいます。
いずれもその病院で就職してから初めて病院保健師となれます。
さらに詳しく知りたい方は「総合病院で働く保健師の仕事内容・求められるスキルとは」の記事をチェックしてみてください。
(3)産業保健師
企業で努める保健師のことを産業保健師と言います。企業に直接雇用される場合もあれば、健診センターといった健診業者に雇用される保健師もいます。
働く人々を対象として健診を実施したり、メタボ対策の保健指導を行います。
最近はうつといった症状に悩まされえる労働者も多いためメンタルヘルスに力を入れる産業保健師も多いです。
産業保健師については、このサイトでも沢山の情報を掲載していますので、興味のある方は「産業保健師転職・仕事内容」のカテゴリーをご覧ください。
(4)学校保健師
学校で働く保健師のことです。保育所や幼稚園、小中学校や高校、大学といった保健室で主に活躍します。
春になれば健診を実施し、児童・生徒・学生の健康問題を解決するため健康相談を受け付けます。
働く学校が公立であれば公務員となります。私立であれば学校に直接雇用されて学校保健師となれます。
当サイトの「学校への保健師転職」のカテゴリーには、様々な教育機関で働く学校保健師について照会していますので、併せてチェックしてみてください。
2.保健師の仕事内容について
もちろん、どの保健師になるのかによって具体的な仕事内容は変わりますが、概ね、以下の4点が主な仕事内容となるでしょう。
- 健康診査(健康診断)
- 健康相談
- 健康教育
- 保健指導
それぞれ、以下で簡潔に解説していきます。
(1)健康診査(健康診断)
誰でも一度は受けたことがあるいわゆる「健診」です。これはどの分野の保健師となっても一番大きく関わる仕事です。対象となる人が健康問題を抱いているかどうか、健診を実施することによって把握します。
健診の案内を通知したり、健診当日に会場がスムーズに流れているかといったことも把握します。そして健診の結果の数値を見て判断し、異常の早期発見に努めます。学校でも企業でも年度初めに健診を実施する機関が多くみられます。
健康診断の結果を分析するのも保健師の仕事
保健師は健診結果をパソコンで分析したり、健診結果の異常者には医療機関へ行くよう受診勧奨を行います。また、個人の健診結果だけでなく、対象者の集団にはどういった健康問題の特徴があるのか細かく分析することもあります。
(2)健康相談
健康や病気などに関して不安がある対象者に健康について相談を受け付ける業務があります。
実際に会って個別に健康について相談を受ける場合もあれば、電話での相談もよく受け付けています。健
健康イベントなどに出向いて血圧を図りながら相談にのることもあれば、相談の窓口を設けていることもあります。
健康相談によってメンタル面での支えとなる必要がある
特に企業や学校で働く保健師には対象者の悩みを聞いたりメンタル面での支えとなる必要があるので、とても大切な仕事の一つです。
(3)健康教育
対象者が陥りそうな健康問題について必要なことを説明して教育します。対象者に対して1対1となって糖尿病予防などについて教育することもあれば、健康誌・広報誌などで健康についての情報を載せることも健康教育の一つです。健康について広く普及啓発することも大切です。
イベントを企画・運営することもある
産業や行政の保健師ではウォーキングイベントを企画・運営するような仕事もあります。
(4)保健指導
対象者の健診結果に基づいてより今以上に健康となれるよう保健指導をします。健診の結果からその対象者に応じて食事や運動について指導します。
個別で指導することもあれば集団指導することもあります。媒体を使って対象者の心に響くような保健指導が必要です。
「特定保健指導」は保健師にとって腕の見せ所
特に40歳以上を対象としたメタボリックシンドローム対策である「特定保健指導」は保健師にとって腕の見せ所である仕事となります。
誰とでもコミュニケーションを図れる人が向いている
上記の仕事内容を見てもらうと分かるように、保健師は対象者とじっくり関わることが多い職種です。
中には正直理解力が乏しく何度言っても同じ過ちを繰り返すような人を対象とすることもあります。時にはその対象者だけでなく、家族や職場の人をも含めて健康問題について解決するため連携を図ることだってあります。
ですので、どんな対象者ともスムーズにコミュニケーションが図れる人が保健師に向いている言えるでしょう。
3.保健師の給料事情
保健師は看護師の資格がないと取得できない資格であるので、当然給料がアップすると思われがちです。
しかし、看護師と比較して夜勤や土日勤務が基本的に保健師にはないので、日勤のみで働く看護師と同じぐらいの月収です。
サービス残業は減り、休日出勤の手当てが付く
保健師は看護師に比べてある程度の残業代を請求することができるのでサービス残業が減ります。まれに健診や健康イベントのため土日出勤がありますが、休日出勤の手当てが付きます。
看護師としての前歴加算をつけてもらえることもある
保健師は新卒で働く場合と看護師経験がある場合とでは給料も違ってきます。
看護師から転職しても看護師としての前歴加算をつけてもらえることもあります。また、地域によって給料の差があります。
行政保健師の給料の例
以下は参考として、私が行政保健師だった時の実際の給料を紹介します。
- 月収 22~28万円程度(手取り)
- ボーナス 年間80万円程度(手取り)
- 年収 400万円程度
4.保健師求人の探し方
保健師の仕事を探す時は看護師と同様に探すこともできますが、それほど求人は多くありませんので注意が必要です。
行政保健師の求人の探し方
行政保健師の求人は主にその自治体のホームページや広報に掲載されます。
翌年の4月採用であれば早くて前年の5月~6月に募集の案内が掲載されたりします。とても早くから事前準備が必要となります。
病院保健師・産業保健師・学校保健師の求人の探し方
行政以外の分野の保健師の求人は自分一人で見つけようとすると困難です。ハローワークでも時折検索するとヒットしますが、とても情報が少ないためどのような企業であるか把握することは容易ではありません。
保健師として転職サイトに登録することで様々な求人が見つかります。看護師転職サイトに登録して探すことをお勧めします。
まとめ
保健師の仕事内容や種類、求人についてお伝えしました。看護師から保健師に転職することは少し勇気がいります。
しかし、実際私のように看護師から保健師に転職した看護師はとても多くいます。
もし、看護師だけでなく保健師の仕事もやってみたい、と思っている看護師がいればぜひトライしてみてください。また、これから保健師になろうと思っている人がいれば、一度しかない人生なのでぜひともチャレンジしてみてもらえればうれしい限りです。
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