最近では、子育てと仕事を両立する産業保健師が増えてきました。産業保健師は夜勤がなくカレンダー通りのシフトで働くことができるため、子育て中の保健師・看護師の中でも人気が高い職種の1つなのです。
ただし、勤務する企業によっては業務量が多く残業続きになってしまうこともありますので、どこで働いても子育てと仕事を両立できるわけではありません。
そこでこのページでは、子育て中の産業保健師の実態や転職先選びに失敗しないためのポイントを解説していきます。
1.子育てをしながら産業保健師として働くメリット
まずは、子育てをしながら産業保健師として働くメリットについて見ていきましょう。メリットは以下の通りです。
- カレンダー通りの勤務ができる
- 給料は比較的高めに設定されている
- 企業によっては託児所が設置されている
- デスクワークが多い
- 産業保健師が複数人いる職場であれば定時に帰れる
小学生以下の子供がいる産業保健師にとっては、夜勤がなくカレンダー通りのシフトで働けることは最大のメリットになるのではないでしょうか。それでは詳しく見ていきましょう。
夜勤はなくカレンダー通りの勤務ができる
産業保健師は一般企業に勤務することになるため、シフトは、夜勤なし・土日祝休みの「カレンダー通り」になります。また、年末・年始やゴールデンウィーク、お盆なども一般企業同様に長期休暇を取得することができます。
病院などの医療施設などと比較すると、子供と一緒にいられる時間が増えるため、特に未就学時の子供がいる保健師にとっては働きやすい環境です。
給料は比較的高めに設定されている
産業保健師は比較的給料が高めに設定されています。勤務する企業によっても異なりますが、正社員で働いた場合、平均月収は35万円であり、パート・派遣社員であれば平均月収は30万円です。子育てには何かとお金がかかるものですから、このように給料が高めに設定されているのは子育て中の保健師にとっては嬉しいポイントです。
正職員の場合は仕事がかなりハードな可能性もある
正社員はボーナスももらえるため、年収にすると600万以上になることも珍しくありません。ただし、正社員の場合はかなり仕事がハードになることもあるため、場合によっては子育てとの両立が難しくなることもあるため注意しましょう。
企業によっては託児所が設置されている
最近では、働く女性を支援しようと、大手の企業が次々に託児所を設置しています。実際、産業保健師を雇用するような会社は規模が大きいところばかりなので、託児所がある産業保健師求人を見つけることはそこまで難しいことではないでしょう。
託児所に子供を預けることができれば、一般の保育園よりは「お迎えの時間」のプレッシャーも少ないですし、何かあったらすぐに駆けつけることができるため安心して働くことができます。
仕事内容はデスクワークが中心
産業保健師の仕事はデスクワークが中心です。そのため、一般の病院などと比較すれば体力の消耗は少ないです。子育てこそ体力勝負の仕事ですから、仕事で出来るだけ体力が奪われずに済むのは、ママ保健師には嬉しいメリットとなるはずです。
産業保健師が複数人いる職場であれば定時に帰れる
産業保健師が複数人いるような職場でれば、基本的に定時で帰ることができます。健康教室などの企画前は資料作りのために残業することもあるようですが、もしどうしても残業することができないようでれば、他の産業保健師に協力してもらうこともできます。ただし、産業保健師が1人か2人しかいない職場ではそうはいかないため注意しましょう。
2.子育てをしながら産業保健師として働くデメリット
子育て中の保健師にとって産業保健師はメリットが多い職種ではありますが、一方で以下のようなデメリットがあることも念頭に置いておきましょう。
- 1人~2人しかいない職場だと休みづらい
- 職場によっては残業が多い
- 正社員の雇用が少ない
- 希望に合った求人が見つからない可能性がある
勤務する企業によっては上記のようなデメリットが浮き彫りになり、かえって働きづらく感じる可能性もあります。それぞれ詳しく見ていきましょう。
産業保健師が1人~2人しかいない職場だと休みづらい
産業保健師が1人~2人しかいないような職場だと、どうしても突発的な休みは取得しづらくなります。しかし、小さい子供がいると急な発熱や保育園・学校のイベントで、どうしても休まなければならない日があるのも事実です。
そのため、できるなら産業保健師が2人以上いる職場を選びたいものですが、もしそれがどうしても無理なようであれば、事前にサポート体制を整えておくようにしましょう。
例えば、自分の両親やパートナーが全面協力してくれるようにしておけば、採用する企業側としても納得してくれるはずです。
産業保健師でも、職場によっては残業が多い
定時で帰れるようなイメージが定着している産業保健師ですが、実際のところはそうでもありません。職場によっては20時~21時まで産業保健師が残業しているようなところもあります。そこまで残業が多いようでは、よっぽど家族が協力してくれない限り仕事と子育ての両立は困難です。たとえ採用されたとしても、すぐに辞めてしまうようなことにもなりかねません。
産業保健師の残業については「産業保健師の残業事情とは?アフター5を満喫できるは嘘!?」 にも詳しく記載してありますので、必ず職場選びの参考にしてください。
産業保健師は正社員の雇用が少ない
産業保健師は正社員の雇用が少ないです(詳しくは「正社員の産業保健師になるには?まずは派遣社員から始めよう」 の記事をチェックしてください)。現実問題、パート・派遣社員の方が子育て中の身としては気軽に働くことができます。
しかしそうなると、産休・育休などの福利厚生が受けられなくなってしまうため、出産を機に長期休暇が必要となった場合は辞めざるをえない可能性が高いです。これからも子供を増やしていきたい希望がある際は特に注意しておきたい点です。
希望に合った求人が見つからない可能性がある
産業保健師の求人はただでさえ数が少ない上に、子育てと両立していきたいとなると様々条件が加わりますから、場合によっては希望に合った求人が一切見つからない可能性もあります。
そのため、子育て中の保健師が産業保健師への転職活動を行う場合は「長期戦」になることを視野に入れておきましょう。また、常に一定の収入を確保しておきたい場合には、今働いている職場は辞めずに平行して転職活動を行っていくことをおすすめします。
3.子育て中の産業保健師が転職する際の注意点
それでは最後に、子育て中の産業保健師が転職する際の注意点について解説していきます。注意点は以下の通りです。
- 産業保健師が複数人いる企業を選ぶ
- 子供の手が離れるまではパート・派遣形態で働く
- 看護師転職サイトを利用する
子育て中の産業保健師転職を成功させる鍵は「職場選び」にあります。条件に合わない職場を妥協して選んでしまうと、またすぐに転職を繰り返すことにもなりかねませんので注意しましょう。
産業保健師が複数人いる企業を選ぶ
先にも述べた通り、子育て中の保健師が働きやすいのは、複数人産業保健師を雇用している企業です。特に、企業の工場だと産業保健師が10人以上いるところも珍しくないため、狙っていきたい求人の1つです。なお、工場勤務の産業保健師について詳しくは「企業の工場で働く保健師の仕事内容は?給与事情とメリット・デメリット」 を参照ください。
1人しか産業保健師がいない職場は選ばないこと!
中小規模の企業の場合は1人しか産業保健師がいないところも珍しくありません。1人しかいないとなると、一切替えがきかないため、採用される可能性もかなり低く、挑戦するだけ無駄なことも多いです。子供が中学生以上であればこういった職場で働くことも可能かもしれませんが、まだ子供が小さいうちは避けるようにしましょう。
子供の手が離れるまではパート・派遣形態で働く
いくら産業保健師の人数が多かったとしても正社員で働くとなると残業は必須です。毎日20時過ぎまで会社に残るのはもちろんのこと、場合によっては持ち帰り残業をしないといけないこともありますから、子供の手が離れる中学生くらいまではパート・派遣形態で働くことをおすすめします。
ただし、家庭の事情で一家の大黒柱として働かなければならない場合は出来るだけ年収が高い企業を狙っていくようにしましょう。
職場探しは看護師転職サイトを利用する
産業保健師の職場探しについては看護師転職サイトを利用するようにしましょう。産業保健師の求人はただでさえかなり少なく自分1人で見つけるのは困難を極めます。効率的に転職活動を進めていくためにも、産業保健師求人を沢山掲載している看護師転職サイトを利用するようにしてください。
担当のコンサルタントに希望条件を細かく伝えること
看護師転職サイトを利用する際には専属のコンサルタントがつき、職場選びから面接までサポートしてもらうことができます。そのため、担当のコンサルタントが決まったら、あなたの勤務希望条件を細かく伝えるようにしてください。その希望が全て通るとは限りませんが、できるだけあなたの希望に合った働きやすい職場を見つけてきてくれます。
まとめ:長期的な視野で転職活動を進めていこう
子育て中となると、独身の保健師よりは職場の選択肢が狭くなってしまのは事実です。そして、すぐに職場が見つかるとも限らないため、焦らず長期的な視野で転職活動を進めていくようにしてください。
また、希望に合った求人が見つかったらすぐにエントリーできるように、日頃から求人情報のチェックは細めにやっておくようにしましょう。
<この記事が保健師の方のお役に立てたらシェアお願いします。>