定時制高校の養護教諭の仕事には、他の学校では味わえない魅力が沢山あります。なぜなら、そこに在籍している生徒達は、幅広い年齢層が揃っており、社会人経験が豊富な人も沢山いるからです。そのような生徒達との関わりを通し、養護教諭としても人間としても、「成長を実感できた」と感じる養護教諭は少なくありません。
ここでは、定時制高校の養護教諭として働く方法の他に、この仕事の魅力や特徴についてもお伝えしていきます。今後、定時制高校で働いてみたいと考えている方にも、思いもがけず定時制高校に配属されてしまった方にも、参考になる内容となっています。
1.定時制高校の養護教諭(保健師)になるには?
定時制高校の養護教諭になるには、公立を選ぶのか・私立を選ぶのかで全くルートが異なりますが「養護教諭1種もしくは2種」の免許が必要であることには変わりありません。
また、後に詳しく述べますが、公立の場合は教員採用試験に受かったとしても、必ずしも定時制高校で勤務できるわけではありません。最初から定時制高校で働きたいと考える場合には、私立の学校を狙うのが一番の近道です。
「公立」の場合は教員採用試験に受かることが必須
公立の定時制高校で働く際には、まず教員採用試験に受かる必要があります。しかし残念ながら、公立の場合は、定時制高校への希望を出したとしても、必ずしもそれが通るとは限りません。また、最近では、定時制高校で働きたいと考える人も多いことから、更に狭き門となっていることが予想されます。実際に配属される場所は、試験が受かった後に電話連絡が来るまで分らないことも念頭に置いておきましょう。
定時制に採用されるかどうかは「一か八か」
上記でも述べた通り、公立の定時制高校に最初から配属されるかどうは一か八かです。もし、採用された学校が定時制ではない一般の学校だった場合は、そこで異動希望を出し、チャンスを待つしかありません。
「私立」の場合はハローワークの活用が最適
私立の定時制高校の場合は、自身で求人情報を、求人情報を見つけ、そこに応募する必要があります。その際は、学校ごとに求人情報を見つけることは非常に手間となるため、ハローワークを利用することがオススメです。
なお、私立の場合は、公立のように教員採用試験を受ける必要はなく、その学校が独自に設けている試験に受かれば、働くことができます。
最初から定時制で働きたいのなら私立を狙おう
私立の場合は、最初から私立の定時制高校に応募することになるため、公立のように「一か八か」ということはありません。待遇は公務員よりも劣ってしまうかもしれませんが、最初から定時制で働きたいのならば、私立の方が狙い目であることを覚えておきましょう。
2.定時制高校における仕事内容の特徴3つ
定時制高校の養護教諭の役割は、その他の一般の高校と同じく、生徒・教職員らの健康管理がメインとなります。そのため、養護教諭は、保健室で急病人や怪我人の対応をする他、生徒らの心の相談にも応じます。また、定期健康診断の実施・運営や、ほけん便りなどを通して、疾病予防活動を行っていきます。
このように、大まかな役割や仕事内容については、一般の高校とあまり変わりないのですが、定時制高校は勤務時間や生徒らの属性が特殊であることを憶えておく必要があります。
特徴(1):定時制高校の勤務時間は「13時~21時」
定時制高校で働く養護教諭に一番多い勤務時間は「13時~21時」のようです。よって、朝の時間を有効活用することができる一方、夜はなかなかプライベートの時間を持つことができません。そのため、規則正しい生活を送りたいと考える人には、あまり向いていない職場であると言えます。
昼間部と夜間部の二部制になっている場合もある
定時制高校によっては、昼間部と夜間部の二部制になっているところもあります。その場合、昼間部で働く場合は一般の学校と同じような勤務時間になりますが、夜間部の場合は「17時~21時」のシフトになるようです。また、一般的には昼間部には現役が多く、夜間部には成人の生徒が多い傾向にあります。
クラブの顧問になると帰宅が「午前様」になることもある
定時制高校のクラブ活動は、夜の21時過ぎに開始されることになります。そのため、もしクラブの顧問になり、積極的にそのクラブ活動に関与した場合、養護教諭の帰宅が「午前様」になることも多々あるようです。
特徴(2):生徒の年齢は15~68歳と幅広い
定時制高校に在籍する生徒は、15~68歳と幅広く、小中で不登校経験があったり、既婚者であったり、昼間は別の仕事をしていたり、既に定年後であったりと、背景は様々です。よって、養護教諭よりも社会人経験が抱負な生徒も沢山おり、他では絶対経験できないこともでき、自分の視野もぐんと広げることもできます。
そのため、最初は定時制高校に抵抗があった養護教諭も、結果的に「定時制高校で働けてよかった」と思う人も多いようです。
生徒に育ててもらうことができる現場
上記にも述べたように、生徒の中には養護教諭からすると「人生の先輩」になる人も大勢いるわけですから、場合によって彼等のような生徒に頼り、相談することもできます。つまり、定時制高校の養護教諭は、生徒に育ててもらうことができる現場でもあるのです。
どこの定時制高校でも喫煙予防は重要課題
定時制高校には「成人」が多く、それに伴い喫煙率が高いことも特徴です。そのため、どこの定時制高校でも、養護教諭が、生徒へ向けて禁煙教育を行っているようです。一般の高校で、「禁煙教育」を行うことは絶対にありませんから、これこそ定時制高校ならではの最大の特徴だと言うことができるかもしれません。
特徴(3):生徒1人1人の相談内容が重い
定時制高校の中には、不登校・妊娠・性感染症・喫煙・家庭不和などの重い問題を抱えている生徒も大勢います。そのため、養護教諭が保健室で受ける相談内容も、必然的に「重く」なることが特徴として挙げられるのです。
それは大きなストレスにもなる一方で、生徒達がそれを克服し、学校生活を楽しく過ごしている様子を見ることは、定時制高校での「やりがい」にもなります。
自己の健康に対して無関心な生徒が多い
定時制高校に在籍している生徒は、生活リズムが乱れがちであったり、性感染症や避妊などの知識に無知であったりと、全体的に自己の健康に対して無関心であることが多いのです。それゆえに、抱えるトラブルも大事になりがちであり、養護教諭はそういう生徒1人1人に寄り添って対応していかなければなりません。
まとめ:定時制高校の養護教諭は人生経験が豊かになる現場
定時制高校には「生徒の重い相談内容に応えなければならない」といった負担もありますが、一方で様々な背景を持つ生徒達と接することで養護教諭自身の人生経験が豊かなるという一面もあります。
そのため、今までとは違う経験をしてみたいという学校保健師の方には、ぜひチャレンジしていただきたい職場ですし、意に反して定時制高校への就職が決まってしまった方には、あまりガッカリせずに楽しんで業務にあたっていくことをオススメします。
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