開業保健師になるための手続きとは?必要な知識とメリット・デメリット

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最近、「開業保健師」という働き方に注目が集まっています。開業保健師とは、どこの組織にも属さないフリーランスの保健師のことを指します。後に詳しく説明していきますが、個人事業主として活躍する開業保健師もいれば法人を設立して大きくビジネスを展開している開業保健師もいます。

ここでは、そういった開業保健師になるのに必要な知識や、実際に開業保健師になった際のメリット・デメリットについて解説していきます。開業保健師に興味のある方はぜひご参照ください。

1.開業保健師になるための手続きとは?

開業保健師になるための手続き

開業保健師になるために必要な手続きは、個人事業主としてビジネスを開始するのか、それとも法人を設立するのかで異なります。開業保健師として今後の明確なビジョンがあるのであれば最初から法人を設立してしまった方がメリットも大きいですが、そういったわけでないのであれば「個人事業主」から始めていくようにしましょう。

実際、ほとんどの開業保健師は「個人事業主」としてスタートを切り出し、必要に応じて法人化しているようです。なお、一般的には売上が年間1000万を超えるようになったあたりから法人化すると良いとされています。

 

とりあえず開業保健師になりたい人は「個人事業主」の手続きへ

「明確なビジョンはないけれど、とりあえず開業保健師としてフリーで働いてみたい!」「隙間時間で自由に働きたい!」という保健師の方は、個人事業主の手続きを行うところから始めましょう。法人の設立とは異なり、個人事業主であれば誰でもすぐに手続きを行うことができます

 

事業を始める地域の税務署へ書類を提出する

まずは自宅のパソコンや自宅近くの税務署から「個人事業の開業・廃業等届出書」を2部入手し、必要事項を記入後、開業から1ヶ月以内に事業を始める税務署へ提出してください。その際、業種の欄には「サービス業、保健師」と記入してください。また、屋号は自身で自由に決めることができます。

 

税制の優遇を受けるには「青色申告」がオススメ!

個人事業主の届け出を提出したら、納税の際に「青色申告」にするか「白色申告」にするかを決定しなければなりません。「青色申告」の方は「白色申告」よりも申告の手間がかかりますが納税額が少なく済み、また領収書を収集しておけば税務上の無料の相談を受けることもできるため、断然「青色申告」がオススメです。

 

明確なビジョンがある保健師は「法人設立」の手続きへ

法人化する場合は、個人事業主の手続きとは異なり設立するのも解散するのも時間もお金もかかります。しかし、もし明確なビジョンができているのであれば計画的に最初から法人化するのも1つの手です。

また、法人の方が当然「社会的な信用度」も高いため、最初から大企業と取引きしていきたいと考えているのであれば法人化した方が良いかもしれません。

 

まずは企業相談サービスを利用しよう!

法人と一言で言っても「株式会社」「合同会社」「一般遮断法人」「特定非営利活動法人(NPO)」など様々な形態があります。また、最近では企業家向けに様々な助成金制度も用意されています。

そのため、どの形態でどの助成金を利用すれば自分のビジョンを実現できるのか、1人で解決するには困難を極めますので、もし本気で法人化を考えているのであれば一度、民間の企業相談サービスに足を運んでみると良いでしょう。

 

日本開業保健師協会にも会員登録しておこう!

開業保健師になることを決めたら、ぜひ日本開業保健師協会(https://jhna.jimdo.com/)に会員登録することをオススメします。日本開業保健師協会は、実際に開業保健師として働いているメンバーを中心に構成されており、研究会や情報交換会などが行われています。

さらに、日本開業保健師協会では、開業保健師を目指している人向けのグループコンサル等も行っているため、これから開業保健師になろうと考えている人はぜひ活用すべき協会です。

また、「会員登録までは気が引ける・・・」という方は、同協会の活動状況を配信しているメルマガに登録することをオススメします。

 

会員種別について

日本開業保健師協会の会員は以下のような会員種別になっています。

  • プラチナ会員・・・保健師で個人事業主もしくは法人を持っており、積極的に同協会をサポートするもの
  • 正会員・・・保健師で個人事業主もしくは法人を持つもの
  • 準会員・・・近い将来、開業保健師になる予定のもの
  • 賛助会員・・・保健師ではないが、開業保健師と一緒に事業をしていきたいと思う個人(法人)

なお、プラチナ会員や正会員になれば助成金補助金申請サポートを受けられることができます。

 

 

2.開業保健師の働き方と仕事内容とは?

開業保健師の働き方と仕事内容

開業保健師と一概に言っても、その仕事内容は様々です。行政の仕事を掛け持ちしている人もいますし、社内に健康管理室を持たない会社と顧問契約を結んでいる人もいます。

ここでは、実際に活躍している開業保健師の仕事内容についてご紹介していきますので、自身が開業保健師として働くイメージをつけるのに役立ててみてください。

 

保健所や地域包括支援センターなどの非常勤の仕事を掛け持つ

開業保健師として一番多い働き方が、「行政での非常勤の仕事を掛け持つ」形態でしょう。この場合、どこの組織にも属さない立場になるため、自分の立ち位置を明確にしておかない働きづらくなってしまいます。

また、「非常勤」であるが故に決定権は持たせてもらえませんが、組織特有の人間関係の煩わしさからは解放されるでしょう。

 

キャリアアップしていきたいなら産業保健分野に目を向けて!

開業保健師としてキャリアアップし、可能性を広げていきたいと考えるのであれば、行政だけでなく後に詳しく説明する「産業保健」の分野にも目を向けていくようにしましょう。

行政の分野では、どうしても出来る業務が限られてしまいますし、こうして掛け持ちをしているだけでは、単なるパートや非常勤保健師とあまり大差ありません。

 

企業を相手に保健師のサービスを提供する

開業保健師として最もやりがいを感じるのは、企業を相手に保健師ならではのサービスを提供することではないでしょうか。実際に企業を相手に取引を行っている開業保健師は営業努力や人脈によって、以下のような業務を担っています。

  • 社内に健康管理室を持たない企業と顧問契約を結ぶ
  • 新人保健師の育成を行う
  • 企業で健康教育や講話などを行う
  • ストレスチェック制度事業に参入する

それぞれ詳しく見ていきましょう。

 

社内に健康管理室を持たない企業と顧問契約を結ぶ

新規に立ち上げた企業や、規模が小さい企業は産業保健師を雇っていないところが多いです。そういった企業は開業保健師と顧問契約を結び、健診後の健康相談・特定保健指導を開業保健師に委託することがあります。

 

新人保健師の育成を行う

産業保健師は1~2人職の現場が多いため「人材育成が難しい」といった課題があります。そこで、健康管理に力を入れている企業では、外部の開業保健師などに人材育成を外注することがあります。

 

企業で健康教育や講話などを行う

健康教育は産業保健師の重要な役割の1つですが、従業員が多い企業などでは、そこに所属する産業保健師だけでは十分にまかなえていない現状があります。そこで健康教育や講話だけを担当する開業保健師が活躍することがあるのです。

 

ストレスチェック制度事業に参入する

2015年の改正労働安全衛生法施行に伴い、企業では従業員に対して「ストレスチェック」の実施が義務付けられるようになりました。このようにまだ導入されたばかりの制度であるため、スムーズに進行が行えるよう開業保健師がストレスチェック制度事業に参入するケースがあります。

 

3.開業保健師の仕事先の見つけ方とは?

開業保健師の仕事先の見つけ方

開業保健師は行政保健師や産業保健師らのように、ただそこにいるだけでは仕事はやっていきません。人脈や転職サイトを駆使し、また懸命に営業努力を行うことによって自ら仕事を取りにいかなくてはならないのです。

では、以下に開業保健師がどのようにして自身の仕事を見つけていくことができるのか、詳しく解説していきます。

 

保健師として働いていた頃の人脈を辿る

開業保健師として働き始めて間もない人は大抵、サラリーマンとして働いていた保健師時代の人脈を活かし、その筋から仕事を請け負っていることがほとんどのようです。そのため、もしあなたが今産業保健師として働いているのであれば、今の現場でしっかりと実績を残して人脈を築き、スムーズに開業保健師へと移行していけるようにしましょう。

 

民間企業へ営業しに行く

産業保健分野で活躍したいにも関わらず特に人脈がない場合は、自身で民間企業へ営業して売り込みに行くしかありません。健康管理室をもたない企業へ顧問契約を取りに行くのも1つですし、実際に産業保健師が活躍している企業であっても、あなたの知識・経験を活かした新たなサービスを売り込みに行くこともできるのです。

 

保健師としての「強み」を明確にする必要がある

民間企業へ営業しに行くのであれば、開業保健師としてのあなたの「強み」を明確にしていかなければなりません。その「強み」とは、企業に売り込む「商品」のようなものです。あなたのその「商品」によって、企業にどのようなメリットをもたらすことができるのかアピールしていかなければならないのです。

 

看護師転職サイトを活用する

特に人脈もなく、また開業保健師とて企業に提供できる「独自の商品」がないのであれば、最初は「看護師転職サイト」を利用し、非常勤で掛け持てる仕事を紹介してもらうようにしましょう。また、その際には転職サイトのコンサルタントの方へ必ず開業保健師として働きたい旨も伝えておくようにしてください。

 

出来るだけ色んな業界に携わろう!

転職サイトを利用される開業保健師の方は、「まだ開業保健師としての方向性が見出せない」といった心境であることがほとんどでしょう。そういった場合は、看護師転職サイトを利用して様々な業界に携わっていくようにしてみましょう。目的を持って働けば、その過程の中できっとあなたの「開業保健師としての強み」が見つかるはずです。

 

4.成功をつかむチャンス!開業保健師のメリット

開業保健師のメリット

ここでは開業保健師になるメリットについて解説していきます。実際、どのような働き方をするのかで得られるメリットは異なりますが、共通するのは働く分野や時間調整を自分で行うことができ、また組織特有の人間関係の煩わしさからは解放される点でしょう。

また、法人化した会社でビジネスが軌道にのった場合は、サラリーマン保健師よりも格段に収入アップする可能性も秘めています。詳しく見ていきましょう。

 

自分の好きなタイミングで働くことができる

「自分の好きなタイミングで働きたい!」という理由で開業保健師になろうと考える人は多いです。非常勤や派遣の仕事を掛け持つ場合は、基本的に「仕事の時間調整」は自分で行うことができます。特に子育てと仕事を両立する必要のある保健師にとってその点は大きなメリットとなるのではないでしょうか。

 

様々な分野で経験を積むことができる

通常、サラリーマン保健師は勤務中に様々な分野で経験を積むことはできません。「行政保健師なら行政」「産業保健師なら企業」「学校保健師なら学校」という形になります。

しかし、開業保健師であればそうした「働く分野」も自身で自由に選ぶことができ、一変にそれらを経験することができます。そのため、「あらゆる分野における保健師経験を積みたい!」という人にとっても開業保健師はオススメの働き方となります。

 

組織特有の人間関係の煩わしさから解放される

開業保健師は企業で勤めることはあっても、その企業に所属することにはなりません。そのため、基本的に組織特有の人間関係の煩わしさからは完全に解放されます。しかし先ほども述べたように、それはメリットだけではなく「重要な仕事は任せてもらえない」というデメリットにもなることは念頭に置いておきましょう。

 

格段に収入アップする可能性がある

開業保健師は言わば「自営業」です。そのため、サラリーマン保健師とは異なり、自身のビジネスが軌道に乗れば格段に収入アップする可能性を秘めているのです。企業勤めであれば、どんなに頑張っても年収800万を超えることはほとんどありませんが、開業保健師になってしまえば年収の上限はありません。中には、大企業と契約し法人の売り上げが年収1000万を超えている開業保健師もいます

 

ビジネスに興味のある人こそ開業保健師がオススメ

サラリーマン保健師として働いている時は「ビジネスをしている」という感覚はあまり持てないでしょう。しかし開業保健師が法人を運営していくには完全にビジネスの世界です。そのため、そもそも「ビジネス」に興味のある保健師の方は、ぜひ開業保健師になってみることをオススメします。サラリーマン保健師には得られない「大きな成功」を掴むチャンスでもあります。

 

5.目的がないと大失敗する?開業保健師のデメリット

開業保健師のデメリット

最後に開業保健師になるデメリットについて紹介していきます。まず考えられるのは「給与が不安定になる」という点です。サラリーマン保健師であれば、それなりに雇用は安定していますが自営業の開業保健師であればそうはいきません。やすやすと風邪を引くこともできないのです。

また、組織ごとにやり方や考え方が異なるためそれに振り回されることもありますし、目的を持って事をこなさないと何も身に付かずに終わるという点もデメリットとして挙げられます。以下に詳しく解説していきます。

 

給与が安定しない可能性がある

開業保健師が稼げるかどうかは「全て自分次第」です。また、そもそも仕事が見つからない可能性もありますし、やったらやっただけお金が入る世界でもありません。それに、自身が体調を崩して働くことができなくなってしまっても誰も身分を保証してくれるような人はいません。

 

安定するまでにはそれ相応の苦労が必要

「ビジネスは起動に乗るまでが大変」といったフレーズを耳にすると思いますが、開業保健師も給与が安定するまでにはそれ相応の苦労が伴うことは念頭に置いておきましょう。

 

組織ごとにやり方も考え方も違う

開業保健師は様々な組織と関わることになります。そして、その組織ごとに異なる「やり方」や「考え方」に順応していかなければなりません。組織によって言うこともやることも違いますから、それに振り回されるリスクも存分にあります。そのため、開業保健師として活躍するためには自身の「保健師観」をしっかりと構築しておく必要があると言えるでしょう。

 

目的を持って仕事をこなさないと何も身に付かない

サラリーマン保健師の場合は、そこに勤めているだけで自ずとキャリアアップをすることができます。しかし開業保健師は、しっかりと自身の今後の目的を持っていないと、ただの「何でも屋」で終わり、何も身につかない可能性があります。

 

将来的に開業保健師としてどうなりたいのかが重要

大まかにでも、将来的に開業保健師としてどうなっていきたいのかを考えることは非常に重要です。どこの組織でも使える「オールマイティ」な存在になりたいのか、それとも自身の得意分野を持つ「スペシャリスト」になりたいのかということくらいは予め考えておきましょう。

 

まとめ:「あなたにしか出来ない保健サービス」を見つけよう!

開業保健師として成功していきたいと考えるのであれば「あなたにしか出来ない保健サービス」を見つける必要があります。もし会社を運営して利益をしっかり出していきたいと考えるのであれば、それは尚更のことです。ただし今後もずっと個人事業主としてやっていきたいと考えている場合は、そういった「スペシャリスト」になるだけではなく、「オールマイティ」な存在にもなれるよう尽力していきましょう。

もし、あなたが今いずれかの組織に勤めていて、計画的に開業保健師になろうとしているのであれば、今のうちに自分が自信を持って「任せてください!」と言えるものは一体何であるのかを考えておきましょう。同時に、人脈作りにも尽力するようにしてください。また、「計画性はないけどとらえず開業保健師になりたい!」という人は、色んな企業や行政を見て回るようにしておきましょう。そうしていくうちに必ず「あなただけのサービス」が見つかるはずです。

 

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保健師 おはな

看護師としての臨床経験を3年積み、大手メーカーの産業保健師として3年働きました。現在はこれまでの経験を活かし、看護師・保健師向けの情報サイトの運営に携わっています。保健師や産業保健師という仕事の奥深さや、やりがいについて、様々な観点からご紹介していきたいと思います。
看護師からのキャリアチェンジを考えている方のお力になれれば幸いです。
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2件のフィードバック

  1. 宮本有紀 より:

    質問があります。
    特定保健指導請求は、開業保健師では不可なのでしょうか。
    私は、すでに50人未満の企業との仮契約を頂いていますが、ストレスチェック以外で、特定保健指導もしたいと考えています。特定保健指導実施機関として認めてもらえるにはどうしたらいいですか。
    よろしくお願いいたします。

    • 宮本有紀 より:

      申し訳ございません。御サイトを読み進めていくと、顧問契約もありうるという内容の記事がありました。大変失礼いたしました。
      協会けんぽへの請求方法を教えていただけると助かります。

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