産業保健師になりたいのであれば、これまでの看護師としての経験だけに頼るのではなく、産業保健の仕事に必要なことを勉強していきましょう。
これは、転職活動を有利に運ぶためだけではなく、実際に産業保健師として働き初めてからいち早く「即戦力」になるためにも大切なことです。
では産業保健師になる前に勉強しておくとよいことは何でしょうか。現役産業保健師の私の視点からご紹介していきます。
1.産業保健師の仕事に役立つ資格の勉強
2.検査内容・検査データの読み方の勉強
3.生活習慣病やメンタルヘルス疾患の勉強
4.保健指導の勉強
5.基本的なパソコン操作と ビジネスマナーの勉強
1.産業保健師の仕事に役立つ資格の勉強
産業保健師の仕事に役立つ資格を取ったり、それについて勉強したりするだけでも、産業保健師としての基礎力は身に付きます。
なお私が考える、産業保健師の仕事に役立つ資格は以下の通りです。
- 保健師の資格
- 第一種衛生管理者の資格(「保健師のスキルアップ資格!第一種衛生管理者の役割・取得する方法・メリット」を参照)
- 産業カウンセラーの資格(「保健師が産業カウンセラーの資格を取得する条件・方法・メリット」を参照)
産業保健師の場合、資格保健師資格をもっているのがベストです。
そしてもし、看護師資格しかもっていないのならば、「第一種衛生管理者」の資格は取得しておくことを強くおすすめします。
また「産業カウンセラー」の資格も持っていると、転職に優位な可能性があります。
外資系企業や外国人従業員が多い企業の場合
外資系企業や外国人従業員が多い企業の場合、産業保健師にも「日常英会話が出来ること」「ビジネス英語が理解できること」を必須としていることがあります。
ですから、こうした企業へ転職したいと考えているならば、英検やTOEICを活用して英語の勉強を行うようにしましょう。
2.検査内容・検査データの読み方の勉強
産業保健師は、会社の健康診断の結果をもとに、従業員の健康増進、疾病予防を行っていきます。
そのため、検査データの結果を読み取れなければなりません。
正常値・異常値は確認しておく
産業保健師になるならば最低でも、検査データの正常値・異常値は把握しておくようにしましょう。また検査の目的、手順も頭に入れておきましょう。
結果を判断するのは医師の業務ですが、産業保健師から検査や結果の説明をする場合があります。特に健診を行っている場合、産業保健師が心電図や採血を行います。その場で質問されても答えられるようにしましょう。
補足!
保健指導する時にも、基準値があるため、受診勧奨レベルの基準値、保健指導レベルの基準値を頭に入れておきましょう。また胸部レントゲンや腹部CT,超音波検査などの画像系検査の結果も血液検査の結果と合わせて、関連付けられるように、相手に分かりやすく伝えられるようにしておきましょう。
3. 生活習慣病やメンタルヘルス疾患の勉強
現在は様々な病気を持っていても、働く人が増えています。会社側も働きやすい環境作りをしており、その中心に産業保健師がいます。従業員の健康管理をしていく上で、特に把握しておく疾患が、生活習慣病とメンタルヘルス疾患です。
生活習慣病について
生活習慣病とは食生活や運動習慣、喫煙、飲酒、ストレスなどの生活習慣の乱れによっておこる高血圧、脂質異常症、糖尿病のことです。これらが重症化すると脳や心臓、血管にダメージを与えていき、脳出血や脳梗塞、心筋梗塞を引き起こします。
産業保健師は、企業に勤める方がそうならないように、保健指導を通して生活習慣の改善を目指しますので、生活習慣病について勉強するのは「必須」だと言えます。
メンタルヘルス疾患について
メンタルヘルス疾患とは、仕事内容、職場での人間関係、プライベートの問題など、さまざまな背景により心が不安定になり発症するうつ病や、不安障害、パニック障害などのことです。
メンタルヘルスに注力している企業に勤める場合、産業保健師はカウンセリングやストレスチェック、超過勤務労働の面談など、産業医と連携して早期発見、早期予防に努めます。
そのため、希望する企業がメンタルヘルスに力を入れている場合はしっかり勉強しておくようにしましょう。
4. 保健指導の勉強
産業保健師のメインの業務が保健指導です。
40歳以上を対象とした特定保健指導については、国も力を入れて行っているくらいですから、特定保健指導項目や指導方法については勉強しておきましょう。
産業保健師が行う保健指導は、いわゆる「メタボリックシンドローム」の方が対象であるため、効果的な減量方法とはどのようなものか、また禁煙指導、良いアルコールとの付き合い方を学習しておきましょう。
「面談技術」についても学んでおく
産業保健師には「面談技術」も重要です。相手の立場に立って、相手から必要な情報を引き出していける技術、相手に合わせた個別性の高い目標を提供できる技術が必要です。
事例などを読んで、様々なタイプを念頭に入れておくと良いでしょう。
5.基本的なパソコン操作と ビジネスマナーの勉強
産業保健師にパソコンスキルは必須です。事務スタッフではないので、高い技術は必要とされませんが、メール、ワード、エクセル、パワーポイントの基本操作は理解しておく必要があります。
また、
- オフィスの服装
- 名刺交換の方法
- 電話対応の方法
- ビジネスメールの基本
- 資料の作成方法
など一般常識範囲のビジネスマナーも勉強しておきましょう。
こういった「一般社会人として基本的なこと」が分かっていないと、産業保健師に転職してから、周囲の人に白い目で見られてしまうことがあります。
こちらについて詳しくは、「産業保健師になる看護師が身に着けておくべきマナーとは」の記事も参考にしてみてくださいね。
<この記事が保健師の方のお役に立てたらシェアお願いします。>