私は、「保健師資格を持たない産業保健師」です。
「保健師資格がない」というのは、想像以上に、産業保健師への転職活動を困難にさせました。
このページでは、当時の転職活動の経験を元に、「保健師資格がない」看護師が転職を成功させるために知っておいてほしいポイントをまとめています。
1.保健師資格がなくても産業保健師への転職は可能
産業保健は、これまでの看護師としての経験を活かせる分野です。
ですから、保健師資格がなくても産業保健師への転職は可能です。
実際に私は、保健師資格はなく看護師のみの資格で産業保健職へ転職しました。
これまで出会った同業の方にも、看護師の資格でお仕事をされている方が何人かいらっしゃいます。
ただし「狭き門」であることは確か
先ほど述べたように、保健師資格がなくても、産業保健職への転職は可能です。
しかし、ただでさえ産業保健師の求人は少ないですから、保健師資格がない看護師にとって狭き門であることは確かです。
産業保健職の募集求人は、ほとんどが「保健師」
保健師資格者に比べて、看護師資格のみの人は、応募できる産業保健師求人はかなり少ないです。
看護師資格のみの場合、「保健師・看護師」を募集している企業であれば、応募することができます。
結局私は転職サイトに登録し、担当者の方に支援していただき転職活動を行いました。
2.保健師資格がない私が転職活動で苦労したこと【体験談】
保健師資格がない私が、産業保健師への転職活動で苦労したことは、
- 応募できる求人を探すこと
- 書類選考の突破
の2点です。
以下で詳しく説明していきます。
(1)「看護師」かつ未経験でも応募できる求人が少なかったこと
私は、複数の看護師転職サイトに登録し転職活動を行いましたが、「看護師」かつ未経験でも応募できる求人は、「ご縁があったら出会える」という状況でした。
看護師転職サイトによっては、求人のご案内がほとんどないところもありました。
現実を目の当りにして、パートや派遣の求人にも目を向けた
こういった現実を目の当りにした私は「まずは経験者になる。それまで勉強だ」と駆け出しの心意気で臨み、パートや派遣の求人にも目を向けました。
さらに、健診期間のみの人員増員や、産休代替えの要員など「期間が決まった求人」へも視野を広げました。
未経験者が応募できる求人は少ないですが、入職後のサポート体制が整っている場合が多く、キャリアをスタートするには貴重な求人です。
未経験から経験者になるのも難しい業界のため根気よくチャレンジしました。
(2)応募できる求人があっても書類選考を突破できないこと
応募できる求人に出会えたとしても、競争率が高いため、書類選考で落とされることも多々あります。
看護師の時の転職とは勝手が違い、相手は、企業の採用担当者であり、その道のプロです。
看護師転職サイトの担当者にアドバイスをもらった
ですから私は、看護師転職サイトの担当者の方と直接会い「職務経歴書」の書き方などを相談しました。
また、相手の企業が
- どのような人財を求めているのか
- どのような雰囲気の職場であるか
など、転職するにあたり、様々なアドバイスを頂きました。
産業保健師の職務経歴書について
産業保健師の職務経歴書については、経験した診療科や支援内容だけでなく、委員会などその他の活動について、「自身の活かせる経験」については明確にまとめておくことの大切さを学びました。
以下に、産業保健職の現場で活かせそうな経験をまとめていますので、参考にしてみてください。
(1)看護支援 | ・糖尿病や循環器疾患患者の指導教育 ・メンタル疾患者への支援 ・救急外来での初療、処置対応 ・がんサバイバーへのセルフケア指導 ・障害者支援 |
(2)委員会活動やチーム運営 | ・チームリーダーとしての取り組み ・教育委員会での集合研修の企画・運営 ・感染委員会での衛生管理に関する取組み ・安全委員会での事故分析と対策 |
3.保健師資格がない看護師が産業保健師へ転職する際のポイント
「産業保健」のお仕事は、対象者に健康な方も含まれており、予防アプローチも必要となります。
つまり、看護師の仕事とは全く異なるのです。
ですから、産業保健師への転職に不利な「保健師資格がない看護師」は、自力で「産業保健師のスキル」を身に付け、面接官へ「即戦力になれる」という印象を与えるようにしましょう。
また、何度もお伝えしているように、保健師資格がないと、応募できる求人が少ないのが現状です。
そのため、自力で転職活動を行うのではなく、看護師転職サイトを利用して出来るだけ多くの求人情報を収集するようにしましょう。
(1)自力で産業保健師に必要なスキルを身に付けよう
産業保健師に必要なスキルを身に付けるためのオススメの方法をご紹介します。
ここでご紹介する資格などは、「履歴書」に記すことで、「即戦力として働ける」ということをアピール材料になります。
(Ⅰ)第一種衛生管理者の資格を取得する
この資格取得のために学習する中で、「労働安全衛生法」を主軸とした関係法規に関する理解、労働衛生の3管理(作業環境管理・作業管理・健康管理)の基本について学べます。
産業保健活動の中の1つ、労働者の健康診断は「労働安全衛生法」を基に実施されており、種類、期間、内容など細かく決められています。
(Ⅱ)ストレスチェック実施者養成研修を受講する
この研修を受講することで、ストレスチェック制度や産業保健スタッフの役割について学ぶことができます。
産業保健の現場では、ストレスチェック制度が義務化(*50人未満の事業場は当面努力義務)されたこともあり、年に1回ストレスチェックが実施されます。
実務に直結する内容であるため、学びを深めておくと良いです。
「ストレスチェック制度って何?」という方は「産業保健師の大切な仕事!ストレスチェックの活用ついてポイント3つ」をチェックしてください。
(Ⅲ)日本健康マスター検定を受検する
「日本健康マスター検定」は、健康づくりや疾病予防に関する知識やノウハウのベースとなります。
「ベーシックコース」と「エキスパートコース」があり、私は後者の方を受検しました。
テキストは一般方向けに作られているのでとてもわかりやすいです。
健康情報を働く人に「分かりやすく伝える」際に表現方法など参考になります。
(Ⅳ)メンタルヘルス・マネジメント®検定を受検する
「メンタルヘルス・マネジメント®検定」は、Ⅰ種(マスターコース)~Ⅲ種(セルフケアコース)があります。
私は、Ⅱ種(ラインケアコース)を受検しました。
こちらの検定は「一般の方向け」ですが、難易度は高く、過去の合格率は50%前後です。
精神疾患に対する理解から、安全配慮義務、個人情報保護やプライバシー配慮まで、メンタルヘルスの基本を学ぶことができます。
(Ⅴ)パソコンスキルを身に付ける
産業保健師として働くのであれば、パソコンスキルは必須です。
実際、産業保健師の求人票では、「PC基本操作ができる」「Excel・Word基礎レベル」との表記で、資格までは問われていません。
しかし、基本的なパソコンスキルがあれば、産業保健職としてスムーズにお仕事を始めることができます。
ポイント!
基本的なパソコンスキルを身に付けるには、「MOS」の資格取得がおすすめです。
私の経験上、特にExcelの操作、関数などを学習しておくと、作業が効率的に行えます。
また、併せて、ビジネスメール(文書)の基本も学んでおくと、スムーズに産業保健の仕事を行えるようになります。
(2)看護師転職サイトを利用して求人を見つけよう
冒頭の方でも述べましたが、私は「看護師転職サイト」を複数利用して、産業保健師の求人を見つけました。
そして、複数利用しても、保健師資格がない看護師が応募できる求人は、そう多くありませんでした。
ですから、少しやり取りが面倒であっても、必ず「2~3社」の「看護師転職サイト」を同時登録して、根気良く「求人探し」に励んでください。
なお、看護師転職サイトの選び方に悩んだら、当サイトの「産業保健師転職求人サイトランキング」を確認してみてください。
求人探し以外にも、「看護師転職サイト」を利用するメリットがある
「看護師転職サイト」の利用は、「求人探し」以外にも
- 履歴書の書き方
- 面接対策
を相談できる、というメリットがあります(ただし、どの程度相談できるのかは、担当者によって差があることは念頭に置いておいてください)。
産業保健師の場合、「一般企業」へ転職するわけですから、「病院」へ転職するのとは勝手が違います。
それに加え、「保健師資格がない」のであれば、なおさら上記のような「フォロー」を受け、少しでも、転職を有利に進めていけるよう、工夫する必要があるのです。
まとめ
保健師資格がない看護師でも、産業保健職に転職できます。
ただ、保健師資格がない看護師の産業保健職への転職は、応募できる求人は限られており、狭き門であることは確かです。
また、臨床の現場とは異なる環境での看護活動であるため、「関係法規を含めた、からだとこころの健康管理に関する知識」や「パソコンスキル」など新たな知識・技術を身に付ける必要があります。
自身の取り組みだけでなく、看護師転職サイトも活用し転職活動を進めてみてください。
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