看護師と同様に保健師も資格保有者のほとんどが女性で占められており、男性保健師はその中でも更に少なく、総保健師数の約1%の割合だと思います。
そして男性保健師の多くが市町村役場や保健所といった行政保健師として働いているのが現状であり、それ以外の職場で働く男性保健師は非常に少ないです。
しかし行政機関以外の職場においても男性保健師の活躍できる場は多く、今回はその中でも特に男性でも働きやすい職場をご紹介します。
1.男性受診者が多い「一般病院の健診センター」
自由診療が基本となる健診センターは、病院の経営に大きく影響し、質の高い健診センターの運営が病院経営の安定につながるのです。そのためにも質の高い看護スタッフが必要であり、特に保健指導を担う保健師の存在は非常に大きいです。
生活指導・生活支援は男性のほうが向いている
対象となる受診者は老若男女さまざまですが、指導業務に関して言えば男性保健師でも女性保健師でも変わりはありません。むしろ生活指導・生活支援といった点から見ると、男性保健師のほうが向いている場合も多いです。
受診者層は40~60代の働く男性が多い
地域差にもよりますが、受診者層としては40代から60代の働く男性が多く、肥満や高血圧、喫煙などの生活習慣に関する問題を抱えていることがあり、密度の濃い保健指導が必要になります。このような場合に男性保健師で年齢も近いなら、話をきちんと聞いてくれる男性受診者も多く、男性保健師は大きな役割を果たすことになります。
経験のある男性保健師はリーダー的立場として重宝される
施設の規模にもよりますが、部署に保健師がひとりまたは2~3人と少ないチームで運営することになり、その中でも経験のある男性保健師はリーダー的立場として重宝されます。他の部署や行政機関などとのやり取りも多く、書類作成やデータ整理、スライドを使ったプレゼンテーションなどを行うことも多いです。
給与面は一家の大黒柱としては物足りないかも
健診センターは一般的な病棟看護師と比べるとどうしても低くなる傾向があります。そのため一家を支える大黒柱としては、やや物足りなさがあるかもしれません。
ポイント!
ただ、そういった給与以外の面においては、仕事のやりがいや、安定性、リーダーシップ力が発揮できるなど、男性保健師にお勧めできる職場です。給与面を補うためにも、できるだけ規模の大きな病院で働くほうが良いでしょう。
2.管理者になれる「訪問看護ステーション」
訪問看護と聞くと、看護師のみの仕事に思えますが、実は保健師資格を持っていると更に仕事の幅が増えます。
また看護師、保健師ともに経験のある男性なら、家族からの信頼も得られやすいといえます。高齢の男性患者が対象となる場合も多く、同性でもある男性保健師はより親密な関係を築くことができるでしょう。
訪問看護ステーションを開業することも可能
男性保健師のお勧めとして、将来的な管理者業務に就ける可能性があること、また独立して訪問看護ステーションを開業することができるという点が挙げられます。
一般的に看護師や保健師の資格では独立開業は難しいとされていますが、訪問看護ステーションは保健師が独立開業を目指すことができ、また現在さらに多くの訪問看護ステーションの設置が求められているのが現状です。
男性ならではのリーダーシップ力が活かされる
事業所の管理運営には看護師・保健師としての経験だけではなく、経営者としてのノウハウが必要になってきます。男性ならではのリーダーシップ力や、経営能力、事務処理能力、そして体力を十分に発揮できる職場だと言えます。
給与面もある程度満足できるものになる
給与については時間外手当や休日手当てなどがあるため、ある程度満足できるものになると思います。男性として家族を支える立場にあっても、十分な給与が得られると思います。
3.男性の得意なことが多い「企業の健康保健室」
企業で働く従業員の健康と安全を守るために、保健師の資格を持つ産業保健師が企業の健康保健室で活躍しています。
よりレベルの高いコミュニケーション能力が求められる
男性保健師へお勧めする理由としては、看護師・保健師としての技術や経験も重要ですが、それ以上に、よりレベルの高いコミュニケーション能力が求められるというところです。
会社全ての部署の、全ての従業員が対象となり、その中には経営陣を含む会社役員の方々にも指導することがあります。
多くの労働者と良い関係を気づくことができる
ある程度の経験や年齢を重ねた男性保健師なら、そのような人への指導もスムーズに行うことができ、多くの労働者と良い関係を気づくことができるでしょう。
実際の業務ではデスクワークも多い
実際の業務ではデスクワークも多く、IT機器の基本的な使用や、データ処理、スライド作成などは男性の得意分野であることが多いです。
企業によっては地方や離島支社への出張がある
企業によっては地方や離島の支社への訪問指導や健康診断の実施等で出張が必要な場合もあり、宿泊を伴うこともあるため、男性のほうが対応しやすいといえます。
建設業やIT産業などは男性保健師が優先される
多くの企業で産業保健師は一人であり、その場合どうしても女性保健師が優先的に採用される場合が多い傾向にあります。ただし、建設業やIT産業など比較的男性労働者の多い職場では、男性保健師を優先的に採用するところもあります。
4.その他の職場について
最後に多くの男性保健師に人気がある「行政保健師」と、男性保健師にとってはかなりマイノリティーである「学校保健師」ついても、簡単にご紹介していきます。
(1)行政機関で働く「行政保健師」について
行政保健師の場合、市町村役場や保健所、市町村保健センターなど働く場所も多く、いろいろな面で保健師の働く環境としては最適であるといえます。
業績を積んでいけば役職に就くのも比較的早い
男性でも女性でも採用に当たり性別が重視されることはありません。
また男性保健師であれば一度採用されると産休や育休などで長期離脱することも少なく、業績を積んでいけば役職に就くのも比較的早いと思われます。
早い時期から転職活動を行う事が大事
注意点としては、行政保健師は新卒または比較的若い年齢で採用されることが多く、どんなに経験をつんだ看護師や保健師でも年齢制限で条件に当てはまらなくなることが多いことです。
そのため、行政機関で保健師として働きたいなら、新卒でなく臨床経験者であればとにかく早い時期から転職活動を行う事が大事です。
(2)保健室で働く「学校保健師」について
行政保健師と同じように、大学等で働く学校保健師も、保健師が働く職場としては非常に人気が高く、給与や福利厚生も行政保健師と同じく好待遇であるといえます。
年齢に関する採用条件は設けられていないところも多いですが、募集自体が非常に少なく特に地方在住の場合だと、なかなか空きがないというのが現状です。
私立の総合大学のほうが男性保健師の求人もある
さらに学校では養護教諭の立場としても働くため、健康診断の実施や健康相談などやはり女性が担当するほうが望ましいともいえます。
学校保健師への転職を希望するなら、私立の総合大学のほうが、男性保健師の求人募集も比較的あると思われます。
まとめ
保健師がその能力を発揮するのは行政機関だけでなく、特に男性保健師はリーダーシップ力やIT機器に関する能力、経営力などを十分に発揮することのできる職場が多くあることを覚えていてほしいです。
また、いずれの職場もできるだけ若い年齢のうちに転職活動を行うことが望ましいです。職場によっては看護師や保健師の臨床経験よりも、年齢を重視する傾向があるからです。
こちらの記事が、転職活動中の男性保健師の力になれれば幸いです。
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