男性産業保健師は、全体の保健師の0.8パーセントというデータが2006年の厚生労働省のデータで分かっています。元々、昔から看護師は女性の仕事として定着しているので、男性の産業保健師の数はどうしても少なくなっているのが現状です。男性保健師が初めて誕生したのは1994年頃のことであり、まだまだその歴史は浅いと言えるでしょう。ここでは、男性産業保健師の実態や転職注意点について詳しくご紹介致します。
1.男性産業保健師の需要ついて
現在の状況だけみれば、まだまだ女性の産業保健師に対する需要と供給が多くなっておりますが、それでも男性の産業保健師の必要性は高まっています。その理由としては、男性が中心の職場においては、男性の産業保健師の方がメンタルヘルスなどを良く行うことができるからです。
男性同士にしか分かりあえないこともある?!
男性主体の企業の場合、男性同士の方が話がしやすく、悩みなどが相談しやすいという面を考慮し男性の産業保健師を採用する企業も増えています。
男性保健師になるためには、狭き門をくぐらなければならないことは確かですが、そうかと言って鼻から諦める必要はないことが分かります。
2.男性が産業保健師として働くメリット
産業保健師は比較的、好待遇であることが多いのです。保健師の中でも産業保健師は最も平均給与が高くなっていますし、民間企業で産業保健師を採用している企業は大企業が多いので、福利厚生も充実しています。公務員ほどではありませんが、安定して好条件にて働くことができるという面において、男性が産業保健師として働くメリットは大きいでしょう。
自分のペースで仕事をしたい男性にとっては最適な仕事
産業保健師は医務室に一人だけという場合もあるので、一人で自分のペースで仕事がしたいという方にとっては最適な職場でしょう。もちろん、社員のメンタルヘルスなどの仕事も受け持つので、一定のコミュニケーション能力は必要となりますが、それでも看護師や他の保健師のようにとても忙しいというわけではなく、働きやすい職場になっています。
自分の力量によって、色々なことが変わるというシーンも多いので、一つ一つの仕事を一生懸命行い、充実感を得ているという方も非常に多いです。
女性社会のトラブルに巻き込まれることはない
看護師の世界にしても、保健師の世界にしても、基本的に女性が多くを占めている現場であるため、男性スタッフは女性社会特有のトラブルに巻き込まれ迷惑を被ることも少なくなかったでしょう。しかし、産業保健師であれば基本的に1人職であることがほとんどであるため、そのような面倒な事態に巻込まれるリスクが減ります。
3.男性が産業保健師として働くデメリット
男性が産業保健師として働く最大のデメリットは女性特有の相談に対応できないという点にあるのではないでしょうか。例えば、女性器系の生理トラブルや、更年期障害などは男性産業保健師に対応することは難しいでしょう。そのため、男性産業保健師の場合は、男性が多く働いている職場もしくは、女性産業保健師と一緒に働く職場ではないと活躍が難しいと言えそうです。
バリバリ働きたい男性にとっては不向きな可能性も
バリバリ働きたい男性にとっては、産業保健師の仕事内容が退屈に感じるかもしれません。なぜなら、産業保健師はそれほど体力を消耗する仕事ではなく、どちらかと言えば部屋でコツコツとデスクに向かう仕事だからです。また、例えば病院のように毎日大きな変化があるわけでもありません。そのため、今まで急性期病院でバリバリと働いていた男性看護師には向かない可能性があります。
看護師と違い平日休みが取れない
男性産業保健師に限ったことではありませんが、産業保健師として働く場合、平日休みが取りにくいということもデメリットの一つとして挙げられます。産業保健師は平日勤務が多く、職場の医務室に一人だけということもあるので、自分一人が休んでしまうと仕事が滞ってしまうということがあります。したがって、社員が出勤している平日はほぼ休むことが不可能で、土日のみの休みとなります。
前職が看護師だと土日休みは慣れない?!
比較的、休みが自由である企業もありますが、多くの企業で通常通りの勤務となる場合が多くなっています。平日にしかできないこともあるので、その面ではややデメリットが大きく感じる方もいらっしゃるかもしれません。また、前職が看護師であった場合は尚更、平日休みがないことを窮屈に感じるかもしれません。
4.産業保健師の平均給与
産業保健師として働く男性の平均給与は、月収で35万円程度、年収で500万円から600万円程度となります。これはあくまでも平均額となっているので、個人の経験や年齢などによって異なります。また産業保健師として、就職する職場によっても差が生じやすくなります。
企業の規則によっても給与は変動する
産業保健師、その企業の従業員という扱いになります。したがって、給与なども社内の規定に則って決められますので、就職する企業によって給与が異なるのです。例えば中小企業の勤務でまだキャリアの浅い20代の場合は、平均年収が300万円程度の場合もありますし、逆に大企業でキャリアを重ねている50代の場合は平均年収が1,000万円以上の産業保健師の男性もいらっしゃいます。
産業保健師は他の保健師と比較して給与水準が高い
同じ保健師の仕事でも、産業保健師の他に行政保健師や学校保健師という職種もあります。行政保健師の場合は平均月収が30万円、年収が450万円から550万円程度、学校保健師の場合は平均月収が25万円程度、年収が300万円から400万円程度となっています。したがって、同じ保健師の仕事でも、産業保健師が最も高い平均給与となっていることが分かります。
できるだけ長く勤めることが年収アップの鍵!
産業保健師は看護師の免許のみでなることができますが、保健師の資格を持っていると給与が高くなる傾向が強いです。また年収をアップさせたいなら、最初に勤めた企業にできるだけ長く勤めるというのが年収アップの鍵となります。
5.男性産業保健師の転職注意点
男性が産業保健師の募集求人を探す方法としては、看護師転職求人サイトに登録することから始めるのが一般的です。男性産業保健師の仕事は、看護師の専門の転職サイト以外ではなかなか見つけることができにくいので、是非看護師転職求人サイトに登録するようにしましょう。また、看護師転職サイトは多数存在しますが、必ず産業保健師の求人案件を多数持っている転職サイトを利用するようにしましょう。
待遇面だけを見て判断しないこと
収入と待遇で転職先を選ぶ方も多いかもしれませんが、そのような企業は仕事内容が大変な場合も多々あります。例えば大企業なら数百人レベルのメンタルヘルスの仕事があるかもしれませんし、産業保健師として働く内容が多かったり、極端に忙しかったりします。それだけやりがいを感じるという方もいらっしゃるかもしれませんが、転職してみて自分のキャパシティーを超えていて、すぐに辞めたいと思ってしまう人もいるので、少し慎重になって応募する方が良いでしょう。
初めての場合は中小企業がオススメ
初めて産業保健師に転職するなら、中小企業に転職することから始めるのがおすすめです。大企業よりは収入面がおとってしまう可能性はありすが、中小企業の場合、社員一人一人としっかりと向き合ってくれたり、仕事内容もあまりハードではないことも多いのです。そのため、始めて産業保健師という仕事に携わる場合は、まずは中小企業への転職から始めてみましょう。
まとめ:目指すは男性産業保健師の草分け的存在!
せっかく貴重な存在である男性産業保健師として働くのであれば、男性だからこそ活躍できる職場を選びましょう。特に男性が多い職場(製造関連など)は、女性保健師にはできない男性産業保健師ならでの気付きやアイディアが充分に活かせるのではないでしょうか。未知の世界に飛び込むことはいつでも不安がつきまとうものですが、興味があるのであればぜひ積極的に飛び込み、男性産業保健師界の草分け的な存在を目指していきましょう。
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