病院勤務の看護師は、患者とコミュニケーションを取る上では少しくだけた話し方も必要ですが、産業保健師として働く場合はビジネスマナーを習得しておくことが必要です。
看護師は、世間一般とは少し離れた常識の中にいるため、産業保健師として会社組織に入り仕事をするとどのような「常識」を問われ、どのようなマナーが必要なのでしょうか。
ここでは、産業保健師になる看護師が身につけておくべきマナーについて紹介していきます。
1.名刺交換のマナー
名刺交換は、基本的に社外の人と初対面の際に自身を覚えてもらい、連絡先などの交換ができるという役割を持っています。
産業保健師が働く企業のほとんどが、健康診断を外部依頼していることが多く、産業保健師は外部の検診センター等と連絡を取り合うこともあるため、その際に名刺交換を行う必要があります。
また企業によっては、連絡先の交換として社員同士で名刺交換をする場合もあります。
名刺交換の基本的なマナーについて
名刺交換の基本的なマナーは以下の通りです。
- 名刺は目下の人から先に差し出す
- 名刺を渡す時は会釈しながら会社名と氏名を伝える
- 名刺の向きは相手に向ける
- 名刺の文字に指がかからないよう、名刺の端を持つ
- 名刺交換をする際には机をはさまない
他にも細々としたマナーやルールがありますが、最低でも上記のポイントはおさえておきましょう。
また、初めて名刺交換を行う時はとても緊張するはずですので、友人や家族に協力してもらいながら実際に練習を重ねた上で、本番を迎えましょう。
動画でも確認してみよう
文章を読むだけでは雰囲気も掴みづらいと思いますので、youtubeなどの動画サイトで、実際に名刺交換をしている様子を確認してみると良いでしょう。
2.ビジネスメールのマナー
病院内でのメールは、人事から配信されてくるものを確認したり、師長や仲の良い同期などに個人的にメールを送ったりする程度のものだったでしょう。
しかし、産業保健師になるのであれば、ビジネスメールのマナーをおさえた上で、メールのやり取りをしていかなければなりません。
産業保健師は社内でも社外でもメール連絡を行う
産業保健師として企業で働く場合、社外は勿論のこと、社内でもメールで連絡をし合うケースがほとんどです。
メールの内容としては、
- タイトルは簡潔に分かりやすくつける
- 出だしの挨拶をつける
- 本文はダラダラと書かず要件のみ記載する
- 結びの挨拶を入れる
ができていれば、何となく格好がつきます。
メールの例文
以下に、簡単なメールの例文を記載していますので、大体の雰囲気を掴んでいただければ幸いです。
本文:
●●様
お疲れ様です。
健康管理部の山田花子です。
先ほどはお忙しい中、面談をお引き受けいただきありがとうございました。
実は今回の面談の件で、直截ご相談させていただきたいことがございます。
大変お手数おかけいたしますが、お手すきの際に、お電話をいただければ幸いです。
よろしくお願い致します。
3.敬語のマナー
病院勤務の看護師は、患者と「敬語を話している」という意識の下に会話をしていません。
そのため、予め敬語のマナーをおさえておかないと、産業保健師になってからふとした瞬間には簡単に言葉として出てきてはくれません。
敬語に関する書籍を一読すること
敬語のマナーを身に付けるには、最低1冊は敬語に関する書籍を買い、とりあえず一読しましょう。
この時、何も堅苦しい本を選ぶ必要はありません。
今は、マンガで優しく敬語について解説してくれているようなものもありますので、本屋に行って自分に合いそうなものを選んでください。
綺麗な敬語を使う人の真似をするのもおすすめ
また、周囲の人達の会話を聞いて「この人の話し方は綺麗で好印象だな」と思う人の真似をしてみるのも良いでしょう。
看護師お得意の観察力で綺麗な敬語を使う人を真似て、こっそりと自分のものにすることができるでしょう。
4.電話対応のマナー
病院での電話と言えば「〇〇病棟・看護師〇〇です。今、そちらに××先生行っていますか」といったような会話が多く、正直、マナーも何もあったもんじゃないですね。
ただし、企業で働くからにはこの病院独特の電話のノリは通じません。
電話対応については敬語のマナーのように、わざわざ本まで買う必要はありませんが、最低限以下のマナーはおさえておきましょう。
電話は3コール以内に出る
まず、企業の場合は、基本的に3コール以内(30秒以内)に出ることが必須です。
もし3コール以内に出られなかった時は、「大変お待たせいたしました。」と、お詫びの言葉を冒頭に添えなければなりません。
すぐメモを取る
取り次ぐ相手が不在の場合、電話の伝言をメモに取るのは当たり前のマナーです。
ただ、仕事柄「すぐメモをすること」に長けている看護師には、これは容易くこなせるでしょう。
電話の前に紙とペンなどを用意しておくと良い
この時、電話の前にメモとペンなどを準備しておくと慌てません。意外と周囲の人は見ているため、今までの看護師の癖でうっかり手には書かないようにしましょう。
5.ビジネス文書のマナー
病院で正式な文書を書くとすれば、研究論文を書く際にアンケートをお願いする時くらいだったかもしれません。
産業保健師になった場合は、社内へ向けて
- 「健康診断実施のお知らせ」
- 「特定保健指導の面談に関してのお願い」
- 「日頃の運動習慣に関してのアンケートのお願い」
等、正式な依頼文を書くことがあります。
ただ、実際にこうしたビジネス文書を書く時は、会社ごとに決められたフォーマットがあるはずです。
そのため、今の時点では、「産業保健師になったらビジネス文書を書く場面がある」ということを頭の片隅に入れておくと良いしょう。
まとめ
産業保健師を雇ったばかりの企業は、その位置がしっかり定められていないため、産業保健師としての役割以外の業務をさせられる場合もあります。
そのため、「将来的に産業保健師を目指したい」と考えている看護師は、ぜひ自分磨きを兼ねてビジネスマナーを再度学んでみてはいかがでしょうか。
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