念願の転職をして実際に働き出してから、前職の方が良かったと思うことはどの職業でもあるでしょう。
人は無いものねだりをしてしまうものです。もちろん、看護師から産業保健師へ転職した際でも、そのように感じることがあります。
ここでは、産業看護師として働きだしてから、「看護師の方が良かった」と思う瞬間についてご紹介します。
1.看護師の方が高収入である
看護師の方が高給取りであるということは、産業保健師が「看護師の方が良かった」と思う瞬間です。
産業保健師も高給取りのイメージがありますが、それは企業によります。
忙しく、残業が多かったり出張があったりする企業の産業保健師は、看護師よりも高給でしょう。
しかしそうではないところは、看護師の日勤常勤くらいの給料と思っていいかもしれません。
(1)夜勤が無く、残業も少ない
看護師は夜勤手当があるため、基本給に追加されて高給となります。
産業保健師は日勤だけのため、基本給だけの給料となり、夜勤をする看護師と比べると安く感じます。
さらに、残業が少ない企業であれば、毎月の給与に変動がありません。
(2)企業の業績によってボーナスに影響が出る
企業の成績・業績によっても、産業保健師の給料は異なります。特にボーナスに影響があるでしょう。
昨今の景気状況を見ると、病院の方がボーナスは良いです。
さすがに産業保健師を置いている企業は大手が多いため、ボーナスゼロという話は聞きませんが、前年度と比較して何%ダウンということはよく聞きます。
私の場合
私の場合は残業なし出張なしの産業保健師であるため、看護師として新卒の病院で多く夜勤をしていた時のほうが給料は高かったです。
2.有給休暇や突然の休みが取りにくい
産業保健師が「看護師の方が良かった」と思う瞬間について、産業保健師の人数が少ないところでは有給休暇や突然の休みを取りづらいということが挙げられます。
看護師は人手不足と言われていますが、スタッフは複数人います。そのため突然の休みや有休には臨機応変に対応しやすくなっています。
休みの土日はどこも混んでいる
産業保健師は基本的に完全週休2日制の土日休みです。
そのため、区役所や銀行など平日のみのところはなかなか行けず、買い物や旅行などどこに行っても混んでいるということは、「看護師の方が良かった」と思う瞬間でもあります。
産業保健師は少人数体制か1人体制
産業保健師は1人体制や少人数体制であるため、突然の休みはよほどのことがない限り難しいでしょう。
私の企業は複数人のスタッフがいるため、1人体制よりは休みが取りやすくなっています。
しかし、他のスタッフと休みの重複を避けるため、休み希望は早めに申告するようにしています。
3.1人1人の責任が重く、人間関係が濃い
産業保健師は少人数のスタッフで業務を行うため、1人1人の責任は重く人間関係が濃くなるということは「看護師の方が良かった」と思う瞬間です。
病院のように命に関わることはなくても、産業保健師は膨大な個人情報を扱い、会社の利益に関わることもあります。
またスタッフ変動が少ないため、自分が常に上司であったり、1番下の後輩であったりと立場に変わりがない場所もあります。
部署異動ができず、新しい情報も入ってこない
産業保健師の部署は本社に1つしかない企業が多く、人間関係で何か問題が生じても部署異動はできません。
また、新しいスタッフが入らないためシステムや使用している機材、物品なども変わらない場合があります。
効率が悪いことに気付かない可能性もあるため、定期的に雑誌やインターネットなどで新たな情報を確認することが大事です。
4.医療関係者の常識が通用しない
産業保健師として会社で働くということは上司や同僚のほとんどが事務職であるため、周囲に医療の常識が通じないときは「看護師の方が良かった」と思う瞬間です。
看護師が病院で共に働くのは、医師など医療や健康のことに詳しい医療従事者ばかりで、医療用語などの医療の常識が通じたでしょう。
しかし、産業保健師として会社で働く際は周囲に医療の常識が通じず、1から説明する必要があります。
逆に会社の常識が自分たちに通じない
逆を言うと、会社の常識が私たち産業保健師に通じないことがあります。
特に書類の作成やメールでのやり取りなどの事務作業は、看護師ではあまりしない作業です。
ポイント!
事務職の上司から再提出や指導を受けることもあり、「知らない」ということが通用しないため、研修やビジネスマナーの本を読むことをお勧めします。
5.やりがいを感じにくい
産業保健師の仕事にやりがいを感じにくいということも、「看護師の方が良かった」と思ってしまう原因です。
産業保健師の対象は、病人やけが人の患者ではなく会社の社員です。
こちらが積極的に世話することはないため、「ありがとう」と感謝される機会は少ないでしょう。
(1)対象者が健康になる過程は長い目で見る
産業保健師は誰かを助けているという実感が看護師に比べ少なく、対象者が健康になってきていると実感することも、長い目で見る必要があります。
減量や禁煙を指導して、実践して、すぐに効果が出るというわけではないのです。
(2)似たような作業が続き緊張感が少ない
産業保健師の日々の業務は、データ処理や他部署との連絡など、パソコンと向き合う時間が長くなります。
似たような作業が続く時もあり、飽きてしまい、看護師に比べ緊張感が少なくなってしまいます。
まとめ
私は看護師として病院やクリニックで働いた後に、産業保健師として企業に転職しました。
今のところ看護師に戻る予定はありません。しかし上記のように、「看護師の方が良かった」と思う瞬間はあります。
もし、また看護師になったら「産業保健師の方が良かった」と思ってしまうのでしょう。
転職してから後悔するのではなく、この記事を読んでそれぞれのメリットデメリットを踏まえたうえで、看護師として、産業保健師として、自分が進む道を決めてください。
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