私も何度か転職を重ねて、それまではずっと病院やクリニックで看護師として働いていたものの、20代後半で産業保健師に転職しました。
その私自身の経験から、20代での産業保健師への転職は、20代前半で看護の基礎を身につけ、有期雇用でも産業保健師の求人にチャレンジしてみることをおすすめします。
ここでは、産業保健師へ20代で転職する場合に知っておいてほしいポイントを更に詳しく解説していきます。
1.産業保健師へ20代で転職するメリット
まずは、20代で産業保健師へ転職するメリットについてご紹介します。
産業保健師として長く経験を積める
長く産業保健師として働いていきたいと思うならば、長く経験を積めることは20代の産業保健師転職のメリットです。
分からないことは分からないと素直に言える年齢です。働きながら学んでいき、それを今後に活かしていくことができます。
転職する中途社員を受け入れる企業は即戦力を求める場合もありますが、若い人材を雇う時には今後の事業拡大や後任の育成のためということもあります。
その場合は、必ずしも即戦力や産業保健の知識、技術を求められている訳ではないため、一つ一つ経験を積みながら、仕事をしていくことが良いでしょう。
生活リズムが安定する
企業に勤めることになるため、一般的には日勤のみ、完全週休二日制です。
最初は週5日連続勤務が辛く感じるかもしれませんが、夜勤や土日出勤がないため、生活リズムが安定し規則正しい生活を送れることが、20代が産業保健師に転職するメリットです。
三食決まった時間に食べられることや睡眠時間が十分に確保できることは、心身の健康につながります。
ポイント!
私は夜勤をしていた時、夜食のせいかストレスのせいなのか、胃痛がありましたが、産業保健師に転職してからはそのような症状がなくなりました。
また病院とは違い、流行性疾患に触れる機会が少なくなるため風邪をひきにくくなりました。
社会人スキルとマナーが身につく
名刺交換やスーツなどの服装、ビジネスメールの方法など、病院とは違う社会人スキルが身に付くということは、20代の産業保健師への転職のメリットです。
病院やクリニックに勤めていると、患者に対して馴れ馴れしい言葉を使ってしまうなど、一般常識や社会人マナーからずれてしまっていることがあります。
また受付やクラークがいるため、外部と電話対応やパソコン操作をあまりせず、病院内で済ませてしまうことが多いです。
産業保健師の場合、外部に連絡することも多く、同じ会社内でも電話やメールを頻繁にやりとりすることがあります。
2.産業保健師へ20代で転職するデメリット
一方、20代で産業保健師へ転職することで生じるデメリットもあります。以下で詳しくご紹介します。
臨床での知識や技術は育たず忘れてしまう
産業保健といってもずっとデータを見ているわけではなく、対象である社員と病気について話すことや、採血をする機会もあります。
それでも臨床に比べるとその機会は極端に少ないため、臨床での看護知識や技術から離れてしまうことが、20代が産業保健師に転職するデメリットとして挙げられます。
最先端の治療法や薬に疎くなる
生活習慣病については理解できていても、他の病気や最先端の治療法には、疎くなりがちです。
私は以前、よく耳にする内服薬の名前は何の薬か理解していました。しかし、最近はジェネリック薬も増えて、わからないことが多いです。
もし、また病院やクリニックに転職する時には、かなりの勉強が必要となるでしょう。
注意!
臨床経験が浅く、いざ入社してみて、検査データが読み取れません、採血できません、は通用しません。
産業保健のことは教えてもらえても、基本的知識や技術は誰も教えてくれないでしょう。基本的知識、技術は身についていて当たり前です。
対象者は年上のため相手にされないことも
20代が産業保健師に転職するデメリットとして、対象者は企業の社員であり、ほとんどの方が自分よりも年上であるということが挙げられます。
病院の時も年上の患者ばかりだったでしょうが、あくまで病気や怪我を負っており、看護師の言うことも素直に聞く方が多かったでしょう。
しかし企業ではまだまだ産業保健師の認知度は低く、社員の健康予防への意識も低いと、相手にされないことがあるかもしれません。
めげずに経験を積み、知識を増やして、関わっていきましょう。
3.20代の産業保健師の給与事情
産業保健師の平均月収は35万円、平均年収は500~600万円といわれています。あくまで平均なので、就職した企業の規模にもよるでしょう。
そして20代は、まだ就職して数年しか経っておらず月収20万~30万円でしょう。手取り月収にすると18~19万のところもあるかもしれません。
企業未経験の場合、臨床経験はカウントされずに、新卒扱いとなるところもあります。
給与が高い・低い企業の特徴
ここでどういった企業が、産業保健師の給与が高い・低いのかをご紹介します。
高い給与の企業の特徴 | 大手企業(特に外資系) |
1人体制 | |
残業や出張が多い | |
英語を使う | |
メンタルケアが多い | |
低い給与の企業の特徴 | 中小企業 |
複数体制 | |
定時に上がれる、出張は無い | |
英語は使わない | |
健診や診療所がメイン |
忙しく、責任が求められるところは高い給与でしょう。
そのため、一概に給与が良いからといって、良い企業とは限りません。
自分のしたい産業保健とは何か、自分のライフバランス、ワークバランスを考えることが大切です。
4.産業保健師へ20代で転職する際の求人の探し方
20代が産業保健師へ転職する際の、求人の探し方についてご紹介します。
ハローワークや看護師転職サイトに登録する
企業のホームページを探しても、産業保健師の求人は掲載されていない場合が多いです。
ほとんどの企業はハローワークや看護師転職サイトに依頼して求人を募っています。
ハローワークを常にチェックしつつ、保健師の転職に強い転職斡旋会社に登録をしましょう。
看護師の転職は比較的通年採用していますが、保健師は4月や9月といった一般的な転職時期に多く採用しています。
産休代替派遣社員の求人もおすすめ
産業保健師の求人を探すうえで、正社員ではなく産休代替派遣社員の求人を探すこともおすすめです。
なかなか出ない産業保健師求人の中でも比較的出ており、有期雇用であるため正社員よりは受かりやすいでしょう。
まとめ
もしあなたが看護師から保健師に転職したいと考えているならば、3年は病院で基礎を身につけることをおすすめします。
また、産業保健師は有期のある派遣社員や契約社員であることが多く、転職を重ねながら、キャリアアップしていく職業であることも念頭に置いておいてください。
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