保健師に向いている人材とは、「自主的に動くことができ、高いコミュニケーション能力を備え、勉強熱心である人」です。それは、企業で働くにしろ、行政で働くにしろ、学校で働くにしろ、共通して言えることです。
そして、これは、看護師にも同じようなことが言えます。ただし保健師の場合は、その仕事柄、看護師よりも更に「自主的に考え動く」能力が求められるのです。つまり、自分が「指示待ち人間」だと自覚のある人は避けるべき職種でもあるのです。
このページでは、保健師に向いている人材について詳しく解説していきますので、保健師への転職を検討中の方はぜひ参考にしてみてください。
1.自分で考えて動ける人
保健師の仕事は、決められたルールやマニュアルに沿ったものをこなすのではなく、自分の頭で考え動いていかなければならないものが多くあります。
保健師はオリジナリティが求められる
保健師の重要な役割の1つである「健康教室の開催・運営」がその象徴です。健康教室は、対象者のニーズに合わせ、毎年異なった内容のものを実施していくため「去年と同じようにやっていればいい」というルーチン作業にはなりません。
例えば看護師であれば、医師から指示された内容をミスなく正確に施すことが求められますが、保健師の場合は、そのような「正確性」よりも、自身で考え行動にうつす「オリジナリティ」が求められるのです。
企画力・調整力・運営力が求められる
健康教室を開催するとなれば、まずは企画を打ち出し、企画が通った後は他部署と連携するなどの調性を行い、当日は教室が円滑に行われるよう運営していかなければなりません。どれも、保健師が指示待ち状態であれば、一向に進められることはありません。
このような企画力・調整力・運営力は、一般企業で働く人であれば自然と身に付いているものなのですが、看護師経験しかないような人は、最初は苦労するかもしれません。しかし、自主的に動こうとする意思さえあれば何とか乗り越えていくことができるはずです。
リーダーシップ力を発揮する必要がある
保健師は看護師と異なり、不特定多数の人々の一次予防に勤めていかなければならないため、リーダーシップ力を発揮していかなければなりません。大勢の前で講演などを行い、彼等の行動変容を促していかなければならないわけですから、リーダーシップ力は必須なのです。人前にでることや目立つことが苦手な人には向いていない職種だと言えます。
2.コミュニケーション能力が高い人
一次予防活動につとめる保健師ですが、どの領域においても1対1で個別相談に応じるケースが多々あります。産業保健師であれば企業の社員と、行政保健師であれば地域で暮らす住民と、学校保健師であれば生徒達と、彼等が心身に抱える悩みについて面談等で傾聴し、時には的確なアドバイスをしていかなければなりません。
そんな時、相手の話を引き出して状況を好転させていくためには、難しいかもしれませんが、保健師は「聞き上手」であり「話し上手」であることが求められるのです。ただ、元々、「誰かの役に立ちたい」と思って看護師や保健師になっているはずですから、皆さん相手に寄り添うことは得意なはずです。
聞いたり話したり共感したり、場に応じた使い分けを
保健師に相談に来る人は、ただひたすら話を聞いてもらって心をスッキリさせたい人もいれば、自分の辛さや悩みを共感してもらいたい人もいます。また、場合によっては禁煙指導や食事指導などの的確なアドバイスが必要なケースもあります。少しカウンセラーのようにもなってしまいますが、保健師は、聞いたり話したり共感したり、場に応じた使い分けをしていかなければならないのです。
ポイント!
まずは相手に心を開いてもらうために、自然に世間話ができる高いコミュニケーション能力もあると良いです。
一番コミュニケーション能力が求められるのは産業保健師?!
産業保健師は、若手社員から役員クラスまで幅広い層と関わっていかなければならず、また企業ではメンタルヘルスにまつわる相談事も多いことから、保健師の中でも一番、コミュニケーション能力が求められるかもしれません。
特に、役員クラスの社員と話す時は、相手の立場を尊重することに配慮していかなければならず、そのことにかなり神経を使う保健師もいます。
3.健康増進活動に対して熱心に取り組める人
保健師は病院の看護師よりも「正解がない」ことに取り組んでいかなければなりません。そのため、常に開拓精神が必要であり、健康増進活動に対して勉強熱心であることが求められます。そしてそれは、様々な背景を持つ不特定多数の人々の健康を守っていかなければならない保健師にとって、当然の結果であると言えます。
実際に、「勉強が大変」ということを理由に保健師をすぐに辞めてしまった人もいるほどです。そのため、もし自分が、健康増進活動に対して勉強熱心に取り組むことができなそうなのであれば、あまり保健師は向いていないかもしれません。
保健師向けの研修・セミナーに参加する
産業保健師や学校保健師は、閉鎖的な空間で働くことになるため、外の情報を得るために、自ら積極的に保健師向けの研修やセミナーに参加する必要があります。そのような場で、他の場所で働いている保健師などと情報を交換したり、最新の公衆衛生事情などを知ることは必ず現場での仕事に活きてきます。
また、自治体によっては、行政保健師が休みを返上して研修に参加しなければならないこともあるようです。それを「面倒臭い」「何で私がこんなことをやらなきゃいけないの?」と思ってしまうようでは、保健師は務まらなさそうです。
スキルアップをするために資格を取得する
保健師は、できるだけ多くの人々の健康をサポートするために、自らスキルアップする意識も必要です。例えば先ほども述べたような研修・セミナーに参加したり、一次予防における書籍を読んだりするのもスキルアップに繋がりますが、最も効率的にスキルアップをすることができるのが資格取得なのではないでしょうか。
ポイント!
衛星管理者資格や産業カウンセラー、臨床心理士、健康運動士などが、保健師のスキルアップに繋がる資格として考えられます。
まとめ:「保健師の仕事=楽」という考え方は危険!
保健師の仕事は、医療関係者の中でもかなり特殊です。なぜなら、積極性やオリジナリティを発揮していかなければならない職種だからです。そして、このような素質さえ備わっていれば、いくらでも「やりがい」を見出せる仕事でもあります。保健師として、対象者のために、積極的に行動を起こせることができそうな人は、必ずこの仕事をやってみる価値があります。
理想とのギャップに苦しむ人も多い
もし、あなたが「保健師の仕事は楽そう」だと、考えこの職種へ転職しようとしているのなら、それは非常に危険な考えです。実際、「夜勤や残業がないから」という理由で看護師から保健師へ転職し、「自分が思っていたのと違う・・・」とギャップに苦しむ人も少なくありません。今の職場が辛いからといって、安易な気持ちで保健師転職をするようなことは絶対に避け、自分の向き・不向きを適性に判断してから転職活動に踏み切るようにしましょう。
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1件の返信
[…] つまり、インターナショナルスクールで働くのであれば「指示待ち」で動くのではなく、自ら積極的に保健指導の道を切り開く姿勢が求められるのです。このあたりについては「保健師に向いている人の特徴とは?指示待ち人間はNG!」の記事も参考にしてみてください。 […]