自治体では、産休や育休期間の穴埋めとして、臨時の行政保健師を募集することがあります。行政保健師は人気が高い職種ですので、臨時の募集に対しても多くの応募が集まるようです。
ここでは、臨時の行政保健師が実際に行う仕事内容や、働く上でのメリット・デメリットを解説していきます。
また、臨時で働く行政保健師の求人探方などについても触れていきますので、現在、臨時の行政保健師求人に応募しようか迷われている方はぜひ参照ください。
目次
1.臨時で働く行政保健師になるための方法
2.臨時の行政保健師の仕事内容について
3.臨時の行政保健師として働くメリット
4.臨時の行政保健師として働くデメリット
まとめ行政保健師未経験者やママ保健師にオススメ!
1.臨時で働く行政保健師になるための方法
臨時で働く行政で保健師であっても、採用の時期以外は、働くまでのルートは、正職員の行政保健師と同じです。まずは、自治体の公式ホームページで求人を見つけ、応募したあとは、公務員試験に受からなければなりません。その際、応募者が少なければ良いのですが、多い場合には、正職員同様に高倍率の中で戦っていかなければなりません。
また、実際に応募する際、転職してから悔いのないよう、以下に記載してある実際の仕事内容やメリット・デメリットも考慮した上で決断していくようにしましょう。
自治体のホームページで求人を見つける
行政保健師の求人は、正職員であろうと臨時であろうと、自治体の公式ホームページでしか見つけることができません。民間の転職サイトやハローワークには掲載されていませんので、注意しましょう。
また、臨時の求人はいつ出るかタイミングを計ることはできないため、気になる自治体のホームページを随時チェックする必要があります。さらに、正職員が募集される5~7月にも、併せて臨時職員の募集が行われることもありますので、この時期は特にチェックしておくとよいでしょう。
勤務形態をしっかりと確認しておく
臨時での募集は、自治体によって勤務形態や給与形態が全く異なります。そのため、実際に応募する際は以下の項目をしっかりと確認する必要があります。
- 勤務期間(半年なのか1年なのか)
- 勤務時間(フルタイムなのかシフト制なのか)
- 時給
- 交通費の支給の有無
勤務形態をしっかり確認しておく事で、ミスマッチを防ぐ事ができます。
公務員試験を受ける
行政保健師になるためには、臨時であっても公務員試験を受ける必要があります。公務員試験については「保健師公務員試験の流れと試験対策方法について」にも書いてありますので、こちらの記事も参考にしながら、出来る範囲で試験対策を行っていくようにしましょう。
2.臨時の行政保健師の仕事内容について
臨時の行政保健師といっても、基本的には正職員の行政保健師と同様の仕事を行います。「臨時の行政保健師は雑務しかさせてもらえない」と噂されていることもあるようですが、それは事実ではありません。ただし、「臨時」という立場上、責任の重い仕事を任される機会は少ないかもしれません。しかしそれは、どこの職場に行っても同じことです。
仕事内容は正職員と同様
臨時の行政保健師は、正職員と同様に、地域住民の一次予防に関する業務を行います。規模が大きい自治体では、他の保健師の「補佐」として動くことも多いようです。具体的には、新生児訪問・乳幼児健診・がん検診の他、地域住民の相談窓口業務を勤めます。
また、行政保健師は「デスクワーク」が中心であるため、今まで病院でしか働いたことがなかったような保健師からすれば、戸惑うことも多いでしょう。
携わる分野は自治体によって異なる
正職員の看護師と同等の業務を行うにしても、実際に携わる分野は所属する自治体によって異なります。自治体では、母子・精神・成人・老年など幅広い分野を扱うため、どの業務をふられてもいいよう、「広く浅く」でもいいので基本的な復習はしておくようにしましょう。
得意分野があればアピールしよう
これまでの経験から「得意分野」があるのであれば、それは積極的にアピールしていくようにしましょう。雇用側としては「即戦力」を求めていますから、場合によってはかなり重宝される存在になります。特に、助産師など何らかの「資格」を持っていればそれは必ず「強み」になることを覚えておきましょう。
基本的なパソコンスキルは身に付けておく必要あり
行政保健師は、資料を作成する機会も多く基本的なパソコンスキルは必須です。ワード・エクセルのある程度の操作方法やブラインドタッチは身に付けておくにこしたことはありません。
もし、パソコン操作が苦手なのであれば、事前に市民講座に通うなどしてスキルを身に付けておくことをオススメします。
保健所と保健センターの違いをおさえておこう
行政保健師の仕事内容は、保健所か保健センターによっても異なります。簡単に言ってしまえば、保健所はと都道府県や東京都23区特別区・政令都市の管轄となり、保健センターは市町村管轄となるため、扱う規模が大きいのは「保健所」の方です。
実際の仕事内容としては、保健所は「二次予防」がメインとなり、保健センターは「一次予防」がメインとなります。また、保健センターでは対応しきれない困難事例を保健所で対応することもあります。
詳しくは「保健所と保健センターにおける保健師の役割となるための方法」の記事に記載してありますので、チェックしてみてください。
3.臨時の行政保健師として働くメリット
行政保健師が臨時で働くメリットは以下の通りです。
- 基本的に定時で帰れる
- 人間関係に悩まされることは少ない
- 仕事の責任はそこまで重くない
- 正職員よりも休みを取りやすい
- 年齢制限が緩い
臨時で働くということは基本的に「期間限定」ですので、正職員と比較すると、色んな意味で「気楽」に働くことが可能です。詳しく見ていきましょう。
基本的に定時で帰れる
臨時で働く場合、基本的に定時で帰れることが多いようです。「行政保健師が抱えるリアルな悩み5つ!転職前に知っておこう」の記事にもあるように、行政保健師の多くは「残業が多い」という悩みを抱えているのですが、臨時で働くのであれば、仕事の幅もそこまで広くはなくまた負担も軽いため、定時で帰ることができるでしょう(もちろん、職場の環境にもよります)。
子育てや介護などと仕事の両立が必要な方は、むしろ「臨時」という立場を利用して働いてみてもいいかもしれません。
人間関係に悩まされることは少ない
契約内容にもよりますが、臨時の場合、「半年」や「一年」といった短い期間で契約を結ぶことになるため、人間関係に悩まされることが少ないというメリットがあります。もし、気が合わない同僚や上司にあたってしまっても、関わる期間が限られているのであれば、割り切ることが容易なのです。
また、女性が多い職場にありがちな「派閥」にも、期間限定の臨時職員であるならば無関係でいることができるでしょう。
仕事の責任はそこまで重くない
正職員と比較すると臨時の行政保健師が担う仕事の責任は軽いです。もちろん、無責任で仕事を行っていいわけではありませんが、正職員のような過剰なプレッシャーや重圧はなく比較的、気楽に働くことができます。
しかし、これは一方で「プロジェクトを立ち上げたりするような面白い仕事はできない」という一面もありますので、これまで保健師としてバリバリ働いたことがある人からすれば、「ものたりない」と感じる可能性もあります。
正職員よりも休みを取りやすい
臨時で働く職員の方が、正職員として働くよりも圧倒的に「休みが取得しやすい」です。正職員として働いたことがある保健師であれば誰もが実感していることですが、通常、「正職員の欠員の穴は非常に大きい」のが一般的です。
なぜなら、上記の話にも通じることですが、正職員は責任ある仕事を任されているからです。一方、臨時の場合、他の人がすぐにカバーしやすい負担の軽い仕事が多いため、まだ休みを取りやすいのです。
もちろん、休んだ分は、給与は減ってしまいます。しかし、小さい子どもがいる保健師などにとっては、そういったデメリットを考慮しても「休みが取りやすい」というメリットの方が魅力的なのではないでしょうか。
年齢制限が緩い
行政保健師は公務員であるため、年齢制限を「20代後半~30歳まで」としているところが多いですが、臨時の場合はそうとも限りません。臨時においてのみ、「40歳まで」としている自治体もありますし、場合によっては「年齢不問」としているところもあります。(保健師の年齢制限については「保健師への転職は年齢制限に注意!今からでも間に合う?」も参考にしてみてください)
4.臨時の行政保健師として働くデメリット
臨時職員として働く行政保健師のデメリットは以下の通りです。
- 正職員よりも給与が低い
- やりがいを感じられない可能性がある
- キャリアアップが難しい
- 職場が気に入っても長くは居続けられない
期間限定の臨時職員だからこそ得られるメリットもあれば、上記のように期間限定ならではのデメリットも複数存在します。また、保健師によっては「給与が下がる」というのは大きな痛手になるかもしれません。以下に、詳しく解説していきます。
正職員よりも給与が低い
臨時で働く行政保健師の時給相場は1000円~1500円程度と言われています(勤務する自治体によって異なります)。また、正職員のように賞与が与えられるわけでもありませんから、給与が低くなってしまうことは必須です。例え、時給1500円の職場で働いたとすると、月給24万円、年収288万円程度です。
これまで、看護師としてフルタイムで働いていたとすると、得られる給与は3分の2程度になってしまいます。もし、同程度の給与を求めるのであれば、臨時の行政保健師の仕事は避けた方が良いでしょう。
臨時の行政保健師は時給が低い?!
同じ保健師の中でも、企業で働く産業保健師であれば平均時給は1700円~2000円程度です。また、看護師であれば時給2000円以上の仕事も多数ありますから、医療業界の中では、臨時の行政保健師の時給は「低い」と言わざるをえません。
やりがいを感じられない可能性がある
どこの組織にも通じることですが、臨時で働く職員には、重要な仕事や新しいプロジェクト等は基本的に任されません。そのため、「バリバリと働いていきたい!」という保健師にとっては、やりがいを感じられない可能性があります。
「行政保健師の仕事を少し経験してみたい!」「できるだけ時間に融通の利く仕事をしたい」という保健師からすれば臨時の仕事はちょうどいいかもしれませんが、それ以外の保健師にとっては仕事が退屈なものになってしまうかもしれません。
キャリアアップが難しい
臨時の行政保健師は長く働き続けることができない分、キャリアアップが難しいです。もしキャリアアップを目指していきたいと考えるのであれば、臨時の仕事は早々に切り上げ、できるだけ早く正職員になれるよう公務員試験の勉強を頑張っていくしかありません。
正職員を目指せるのは20代のうち!
一般的に、行政保健師が正職員を目指せるのは20代のうちです。一度、試験に受かって合格してしまえば、そのあとは年齢に関係なく安定的に働くことができますので、今後、正職員として働くつもりがあるのであれば早めに行動するにこしたことはありません。
職場が気に入っても長くは居続けられない
これはどうしようもないことですが、臨時の行政保健師は働ける期間が限定されていますので、いくらその職場が気に入ったとしてもそこで長く働き続けることはできません。運よく、職場環境に恵まれた保健師にとっては、とても辛いデメリットでもあります。
ただし、「どうせ辞めるから」というスタンスで働くことだけは絶対にやめましょう。あなたがそこで一所懸命に働き、実績を残すことができれば、契約延長を打診される可能性だってあるからです。
まとめ:行政保健師未経験者やママ保健師にオススメ!
臨時の行政保健師は、正職員と同様の仕事内容を、そこまで重い責任を負うことなく行うことができます。そのため、「行政保健師の仕事を一度経験してみたい!」「子育てと仕事を両立させたい!」という保健師には最適な仕事だと言えます。一方、給与が下がり、やりがいを感じられる機会が減るというデメリットもありますから、バリバリ働いてキャリアを積んでいきたい人には向きません。
また、「いずれは正職員の行政保健師として働きたい!」と考えている保健師は、年齢制限の問題もありますので、早め早めに行動に移していくようにしましょう。
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1件の返信
[…] 子育ての都合上、「絶対に残業を避けたい!」というようであれば、臨時の行政保健師として働くのが一番です。臨時であれば、正職員と比較すると仕事の負担は軽くなりますし、当然残業も少なくなります。ただし、給与や福利厚生面は正職員よりも劣りますので注意しましょう。なお、臨時職員に関しては「臨時の行政保健師になるには?仕事内容とメリット・デメリットを解説!」をチェックしてみてください。 […]