一般的に、企業が募集する産業保健師には、看護師として3年~5年の臨床経験があることを求めているところが多いです。しかし、企業によっては新卒の看護師・保健師を採用しているところもあり、そこまで臨床経験を重視していないところもあります。つまり、産業保健師に必要な看護師の臨床経験には具体的な指標はなく「企業によって異なる」というのが、実際のところです。
ここでは、産業保健師への転職に必要な看護師の臨床経験について、詳しく解説していきます。臨床経験年数が豊富な方も、そうでない方も、ぜひ頭に入れておいていただきたい内容です。
1.産業保健師に求められる臨床経験は企業ごとに異なる
2.産業保健師の転職には臨床経験が多いほど有利
3.臨床経験が少なくても転職を諦める必要はない!
4.自分の臨床経験値に合った産業保健師求人の見つけ方
5.まとめ:自分の能力に見合った求人を見つけることが大切!
1.産業保健師に求められる臨床経験は企業ごとに異なる
産業保健師に求められる臨床経験については、大きく分けると、保健師が複数人いるような企業と1~2人しかいない企業とで、異なります。ただし、基本的には、産業保健師は「即戦力」が求められていますので、ほとんどの募集求人の応募条件や歓迎条件には「看護師(保健師の場合)としての臨床経験」というフレーズが見られます。
また、いくら「臨床経験は問わない」と打ち出しているところでも、いざ採用の際は、即戦力になりそうな方が採用される可能性が高いことを念頭に置いておきましょう。
産業保健師が1~2人体制の企業は3年以上の臨床経験が必要
上記のケースとは反対に、産業保健師が1~2人体制の場合は、丁寧に指導を行っていく余裕がないため、企業側としてたは「できるだけすぐに即戦力として働いてくれる人」を求めます。そのため、少なくとも臨床経験3年以上は必要となってくるでしょう。
中には、応募要項に「臨床経験5年以上」「産業保健師の経験がある人」「保健師経験のある人」と、打ち出している企業もあります。少ない人数で、大勢の社員の健康管理を行っていかなければなりませんから、臨床経験はあればあるほど重宝されるのは当然の結果だと言えます。
社員数が多く産業保健師が複数人いる企業は新卒も採用される
社員数が数万人いるような規模が大きい企業においては、産業保健師が10~20名ほど在籍しているケースもあります。特に、工場を持つ企業はそのような人数体制を取っているところが多く見られます(工場で働く産業保健師について詳しく知りたい方は「臨床企業の工場で働く保健師の仕事内容は?給与事情とメリット・デメリット」をご参照ください)。
このように産業保健師が大勢いる現場では、即戦力にならない新卒や、臨床経験が少ない看護師であっても、指導してもらえる余裕があるため、必ずしも3~5年以上の臨床経験が必要なわけではないのです。
2.産業保健師の転職は臨床経験が多いほど有利
臨床経験は、多ければ多いほど、職場の選択肢は広がりますし、企業側からも重宝されるため、転職を有利に運ぶことができます。そのため、もし今の時点で臨床経験が3年にも満たないようで「どうしても今すぐに転職したい!」というわけでなければ、せめて3年は臨床経験を積んだ状態で転職に踏み切るといいかもしれません。さらに、臨床経験が5年以上あれば、応募できない企業は、ほぼないでしょう。
一番転職に有利になるのは保健師としての経験値
産業保健師はその名称に「保健師」が含まれますが、ほとんどの企業において、求められる必須な資格は「看護師」です(必ず保健師資格が必要となる企業もあります)。ただし、産業保健師は病院の看護師とは違い、主に「一次予防」に関わることになりますので、保健師としての経験値は、必ずと言っていいほど、産業保健師の転職を有利にさせることができます。
十分な臨床経験があればすぐに挽回できる
看護師の臨床経験が十分にあるようであれば、保健師としての経験値がないことをあまり気に留める必要はありません。少しの努力や工夫で、いくらでもその穴を埋めることができます。詳しくは「保健師未経験者が産業保健師に転職する際のポイント3つ」をご参照ください。
3.臨床経験が少なくても産業保健師転職を諦める必要はない!
ここまで、産業保健師の転職においては、臨床経験があればあるだけ有利であることをお伝えさせていただきました。しかし、臨床経験が3年未満であっても産業保健師転職を諦める必要はありません。最初の方でも述べた通り、臨床経験が少なくても、産業保健師が複数人いるような規模の大きい企業であれば応募することができるからです。
しかし、それはつまり、現時点では、産業保健師として働ける職場が限られているということでもあります。また、もし仮に応募できたとしても、臨床経験がある人の方が採用されやすいので、いずれにしても産業保健師になるのは「狭き門」なのです。
応募できる企業を手当たり次第に受けよう
産業保健師はただでさえ募集求人の数が限られています。その中で、臨床経験が少ない人が、産業保健師になるためには、自分が応募できる企業を手当たり次第に受けていくしかありません。少し雑な言い方になってしまいますが産業保健師への転職は、「数打ち当たる」ことが多々あるからです。
企業を選ぶのは保健師経験を積んでから
もし自分が望む企業に入れなかったとしても、内定をもらった企業でとにかく産業保健師としての経験を積んでいくようにしましょう。そこでの経験値が2年・3年と増えていけば、今度はその経験値が武器となり、一番望む企業への転職成功に一歩近付けることができます。
4.自分の臨床経験値に合った産業保健師求人の見つけ方
企業によって産業保健師に求められる臨床経験値は異なること、そして臨床経験は多ければ多いほど選択肢が広がりますが、いくら臨床経験が少なくても、産業保健師転職を諦める必要はないことを解説してきました。つまり、産業保健師の転職においては「自分の能力に見合った職場を選ぶ必要があるのです。
そこでこの最後の項では、それぞれの臨床経験値に合った、産業保健師求人を見つける方法をご紹介していきます。
産業保健師の求人探しは看護師転職サイトを利用しよう
せっかく内定をもらった後に、一番避けたいことは、「こんなはずじゃなかった」という事態になることです。例えば、大した臨床経験がないにも関わらずものすごく即戦力が求められる職場に入ってしまったり、反対に臨床経験は充分にあるのにあまり責任あることをやらせてもらえない職場に入ってしまったりすると、それは転職成功とは言えません。
このようなミスマッチの事態を避けるためにぜひ活用していただきたのが、看護師転職サイトです。
キャリアコンサルタントとの職場探しでミスマッチを防ぐ
看護師転職サイトを利用すると、必ず専任のキャリアコンサルタントが配置されます。コンサルタントは転職サイトに掲載してある豊富な求人の中から、あなたの臨床経験値にふさわしい求人を見つけてきてくれるため、転職後のミスマッチのリスクを限りなく低くすることができるのです。
まとめ:自分の能力に見合った求人を見つけることが大切!
一般的に、企業で働く産業保健師には、十分な臨床経験値が必要なのではないかと考えられがちですが、実際はそうでもないケースが多々あるのです。つまり、産業保健師の転職成功においては大切なのは、臨床経験の有無ではなく自分の能力に見合った求人を見つけることなのです。
そのため、臨床経験値にあまりこだわりすぎることなく、転職サイトなどを利用しながら、その時の自分にとってベストな職場を見つけることが転職成功の秘訣となります。
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