行政保健師になるためには、「公務員試験」を突破しなければなりません。行政保健師の公務員試験の合格率は自分が受験する市区町村によって異なりますが、いずれにせよ働きながら公務員試験対策をしていくのはそう容易なことではなく、試験対策も万全にしておく必要があります。
このページでは、実際の公務員試験の流れと試験対策のポイントについて詳しく説明していきます。現在、行政保健師への転職を検討中の方はぜひ一読ください。
1.行政保健師になるまでの流れ
保健師が行政保健師になるまでには、以下の流れを辿っていく必要があります。一次試験・二次試験を両方通過できた後に、晴れて行政保健師として働くことができるようになるのです。それでは、1つ1つの流れについて詳しく見ていきましょう。
1.公務員試験の受験案内を自治体のホームページで確認
保健師の職員採用の詳細情報においては、各自治体の公式サイトで公表されています。企業保健師や学校保健師などの求人情報に関しては、転職サイトや専門誌に載せられていることも多いですが、行政保健師の場合は各自治体の公式ホームページにしか採用情報が掲載されることはないため、その点は注意しましょう。
5月~7月はホームページを要チェック!
公式ホームページでしか採用情報がチェックできないとなると、情報収集が非常に手間であるように思えますが、その点はあまり心配する必要はありません。なぜなら、行政保健師の試験は5月~7月頃に実施されることがほとんどであり、大体その半月ほど前にはどの自治体も正式な募集案内を載せるようになっているからです。そして、このようにホームページで採用情報や募集要項の確認を行い出願した後は、いよいよ一次試験です。
2.一次試験(教養・専門試験)
一次試験では、教養試験と専門試験の2種類の試験が用意されているケースが多いですが、自治体によっては適性試験を実施している場合もあります。そのため事前に、その自治体がどのような試験を毎年行っているのか、しっかりと情報収集しておく必要がります。
教養試験について
教養試験においては、どの自治体であっても必ず実施されています。看護師から保健師を目指す人も少なくないとは思いますが、看護大学出身者は一般教養について触れる機会が圧倒的に少ないため、教養試験の対策は苦労するかもしれません。以下に、教養試験に出題される科目をまとめています。
- 社会科学(政治、経済、現代社会など)
- 人文科学(日本史、世界史、地理など)
- 自然科学(数学、物理、科学など)
- 数的処理(資料解釈など)
- 文章理解(現代文、英文、古文、漢文など)
- 時事問題
教養試験に関しては、どの自治体もこれら全ての範囲を網羅した内容が出題されるわけではありません。そのため、受験する自治体の過去問などから出題傾向を分析し、効率的に試験対策を行っていく必要があります。
専門試験について
専門試験に出題される科目は、保健師の国家試験に順じたものとなっています。
- 地域看護学
- 公衆衛生看護学
- 疫学
- 保健統計
- 保健福祉行政論
いずれも学生時代に学んだ内容であるため、教養試験と比較すると勉強がしやすいのではないでしょうか。また、専門試験も教養試験と同様に自治体によって出題傾向が異なるため、事前におさえておくべきポイントを過去問で分析しておく必要があります。
3.一次合格発表
一次試験の合否に関しては、期間限定で自治体のホームページに掲載されることが多いようです。
4.二次試験(小論文・面接)
一次試験が無事に通過した後は、二次試験が行われます。苦労の多かった筆記試験を無事に通過できたとしても、まだ気は抜けません。
行政保健師の面接
行政保健師の面接で聞かれることは、ある程度パターンが決まっているようです。以下に、行政保健師の面接でよく聞かれる項目をまとめています。
- 保健師を志した理由
- その自治体を選んだ理由
- これから目指していきたい理想の公務員像とは
このような質問を投げかけられることが多いようなのですが、面接対策においては通り一辺倒の答えだけを用意しておくだけではいけません。自治体の特性と自分特性を踏まえたオリジナリティ溢れる質問回答を用意し、自己アピールを行っていきましょう。
行政保健師の小論文
小論文のテーマも自治体によって大きく異なります。以下は、実際に公務員試験で出題された小論文のテーマをまとめたものです。
- 少子化について
- 環境問題について
- あなたの社会人の常識とは
- 「食」に関する課題について
- 生活習慣病について
行政保健師の小論文では、保健師の専門分野に関するテーマが投げかけられる時もあれば、一般の事務の人たちと同じようなテーマの場合もあります。
上記の流れを経て、二次試験まで通過できえば晴れて行政保健師としてデビューすることができます。
2.行政保健師の公務員試験対策のコツ
上記でも述べた通り、公務員の筆記試験対策は、受験する自治体の過去問を何度も何度もこなすことが一番の重要事項です。公務員試験は毎年、似たような傾向の問題が出題されることも少なくありません。そのため、筆記試験対策においては過去問を繰り返し解くことで、その自治体の出題傾向を分析することができるのです。
公務員試験対策は短期集中決戦!
公務員試験対策は、高校受験や大学受験などの試験対策とよく似ています。何度も何度も過去問を解く忍耐力と、ポイントとなる点をひたすら覚える記憶力が求められるのです。現役でバリバリ働きながら、試験対策を行っていくことは正直「体力勝負」でもあります。しかし、そのようなハードな時間が永遠に続く訳ではありません。短気集中決戦だと思って気合いを入れて取り組むようにしましょう。
面接や履歴書の対策は転職サイトを活用してみよう!
行政保健師の転職活動と並行して、産業保健師や学校保健師への転職活動を進めている人も少なくないでしょう。産業保健師や学校保健師の場合は、行政保健師とは違い転職サイトを利用しながら転職活動を進めることができます。転職サイトでは、保健師の転職成功に欠かせない履歴書の書き方の指導や面接対策も行ってくれます。それらのサービスは全て無料で受けることができるため、ぜひ有効活用することをオススメします。
現在、行政保健師のみだけに焦点を絞って保健師転職活動を行っている場合は、「保険」をかける意味でも産業や学校保健の方へ目を向け、転職サイトを利用してみてはいかがでしょうか。
3.働きながら公務員試験対策をする時のポイント
行政保健師になるための公務員試験は、生半可な気持ちでやって受かるものではありません。ある程度時間を割き、集中して試験勉強を行っていく必要があります。現役の看護師としてフルタイムで働きながら公務員試験の準備をしている人の中には「夜勤中の休憩時間も公務員試験の勉強にあてていた」という意見も聞かれました。また、公務員試験の勉強の時間を割くために、一時的にパートタイムの看護師の仕事に切り替えていた人もいます。
集中して勉強できる時間を確保する必要がある
先にも述べたように、公務員試験対策は短期集中決戦です。金銭面や体力面で大変な面はあったとしても、どうにか工夫して集中的に勉強できる時間を確保していかなければなりません。また、行政保健師の公務員試験の場合は、一次試験の合否判定の後にしか二次試験の日程が発表されないため、正社員として働きながらがら試験を受けるのはシフト調整の意味でも非常に苦労を伴います。
可能であれば一時的に仕事のペースを緩める
場合によっては難しいこともありますが、公務員試験を一番早くパスするためには、一時的にでも仕事のペースを緩める(現在正社員であるのならばパートタイマーや派遣になる)ことがベストだと言えるでしょう。その結果、試験勉強の期間中は給与が下がってしまうことは免れませんが、体力面・時間面・シフト面を考慮すると一番円滑に公務員試験対策を行うことができます。
まとめ
この記事では、行政保健師になるまでの流れと試験対策のポイントについて紹介させていただきました。その中で一番伝えたいポイントとしては、「公務員試験は生半可な気持ちで受かるものではない」ということと「一時的に集中して試験対策を行っていく必要がある」ということです。しかし、この山場を乗り越えることができれば、憧れの保健師となれわけですから、ぜひここ一番の気合いを入れて公務員試験に挑むようにしましょう。
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7件のフィードバック
[…] 島保健師の採用枠は非常に限られていますので、健康福祉局のホームページと看護師転職サイトの両方を活用し、タイムリーな採用情報を見逃さないように注意する必要があります。島保健師は「行政保健師」という公務員になるため、公務員試験が受ける必要性があります。しかし、試験の概要については公式ホームページ(東京都健康福祉局 東京都島しょ保健所)にも詳しい情報が記載されていないため、ホームページに記載されている担当者の方へ各自問い合わせる必要があります。また、行政保健師の試験対策については保健師公務員試験の流れと試験対策方法についてをご参照ください。 […]
[…] なお、公務員試験対策については「保健師公務員試験の流れと試験対策方法について」の記事もご参照ください。 […]
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